2023年12月3日「ヨセフに示された奇跡」木下淳夫 師

今年のクリスマスは、「ホーリー・ミラクル・クリスマス」というテーマで、聖なる神の御子イエス・キリストがお生まれになったときに示された神様の奇跡に注目します。

アドベント第一週の今日は、「ヨセフに示された奇跡」について、マタイの福音書から学ばせていただきます。

　マリヤを愛し、救いたいと願っていたヨセフに、神様は奇跡を示されました。神様はヨセフの夢に御使いを送られました。神様がヨセフの夢の中に主の使いをお送りになったのは、ヨセフだけに直接話をしたかったからです。この時代において、神様はイエス様の母としてマリヤを、そして、幼子を育てるために必要な父親としてヨセフをお選びくださり、彼らだけにとても大切な働きを示すという奇跡を示されました。

　御使いはヨセフに「ダビデの子ヨセフ」と語りかけました。ヨセフはマリヤから、おなかの子どもは神の御子キリストであると聞かされていたと考えられます。しかし、ヨセフは、キリストはダビデの子孫である父親を通して生まれると信じていましたから、聖霊によって生まれた子は神の子であっても、キリストであるとは考えられなかったことでしょう。御使いは、ヨセフをダビデの子と呼ぶことによって、ヨセフが約束されたキリストの父親であり、生まれてくる子はダビデの子、キリストであると伝えました。

　そして、御使いはヨセフが最も恐れていたことに答えを与えました。マリヤを妻として迎えること、また、マリヤを内密に去らせることについて、「恐れないであなたの妻マリヤを迎えなさい」と命じました。なぜなら、マリヤは罪を犯したのではなく、聖霊によって身ごもっているからです。

　御使いは、生まれる子どもについても、ヨセフに教えています。生まれるのは男の子であり、名前はイエスです。イエスという名前は、主は救いという意味です。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださるからです。

　この福音書の著者マタイは、読者にマリヤが聖霊によって身ごもって男の子を生むということ、その子こそ神の御子キリストであるということは、ずっと昔から旧約聖書に預言されていたことであり、神様はその約束を成就してくださったと教えています。ですから、マリヤの処女降誕という奇跡は、預言の成就であり、神様が初めから教えてくださっていたこと、また、処女から生まれる子どもこそ神様がともにおられるお方、インマヌエルであるお方、約束のキリストであると教えています。

　ヨセフに示された奇跡は、自分の妻が聖霊によって身ごもり、ご自分の民をその罪から救うキリストを生むということ、そして、自分はダビデの子として、そのキリストの父として選ばれたということでした。ヨセフがこのような奇跡を体験したのは、彼が主の御前に正しい人だったからです。主を愛し、隣人を愛する人だったからこそ、神様はヨセフなら信仰をもってマリヤと一緒にキリストを育ててくれると認めてくださいました。

　今日、覚えたいことは、イエス様はご自分の民をその罪から救ってくださるお方であり、罪から救われたならヨセフが経験したように神様の大きな恵みを受ける奇跡を体験できるということです。罪を持っていたのでは神様の御心を行うことができません。もちろん、ヨセフもマリヤも罪人であることに変わりありませんが、彼らは戒めを守り、罪の贖いを行っていました。そのような神様に心からお仕えしようとする人が、この時代にはほとんどいませんでした。それは、現代でも同じです。自ら犯した罪のために神様の御許に行くことができない人々、罪の奴隷となって自分がしたいと思う良いことができずに苦しんでいる人々、罪の結果永遠の滅びに向かっている人々を救うために、イエス様はこの世に来てくださいました。私たちも、救い主イエス様を心にお迎えして、神様の御前に正しい人としていただき、神様がヨセフに語られたように、私たちも神様と親しい交わりをさせていただき、大きな恵みをいただきたいと願います。