2023年12月10日「マリヤに示された奇跡」木下淳夫 師

タイトルマリヤに示された奇跡
聖書ルカ1:26〜33
説教者木下淳夫師

マリヤに示された奇跡

ルカの福音書1章26~33節

ホーリーミラクルクリスマスの第二週は、「マリヤに示された奇跡」です。

 マリヤに示された奇跡は、マリヤが聖霊によって身ごもるという出来事です。今日は、この奇跡を通してマリヤが受け取った恵みと、信仰のチャレンジについて学び、私たちもマリヤのように心を静めてイエス様の御声に耳を傾ける歩みをしたいと願っています。

ルカの福音書1章26〜27節

26 ところで、その六か月目に、御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町のひとりの処女のところに来た。

27 この処女は、ダビデの家系のヨセフという人のいいなずけで、名をマリヤといった。

(新改訳第三版)

 マリヤの親類で、今まで子どもを産むことがなかった高齢のエリサベツが、神様の恵みを受けて妊娠してから6カ月目に、御使いガブリエルが、マリヤのもとに神様から遣わされました。マリヤはヨセフのいいなずけとありますが、ユダヤの法律では二人は夫婦と認められていました。ヨセフはダビデの家系に属していて、約束のメシアの父となる可能性がありましたが、ヨセフ本人もガリラヤのナザレという田舎に住んでいましたので、ダビデの王座を継承するような子どもを産むとは夢にも思っていなかったことでしょう。マリヤについては、処女であると記されています。ユダヤでは婚約して法的には夫婦ではありますが、1年ほど別居する期間が定められていましたので、マリヤはまだ妊娠する可能性はありませんでした。

ルカの福音書1章28~31節

28 御使いは、入って来ると、マリヤに言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」

29 しかし、マリヤはこのことばに、ひどくとまどって、これはいったい何のあいさつかと考え込んだ。

30 すると御使いが言った。「こわがることはない。マリヤ。あなたは神から恵みを受けたのです。

31 ご覧なさい。あなたはみごもって、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。

(新改訳第三版)

 御使いガブリエルは、マリヤに「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」と話しかけました。この言葉は、マリヤが神様から恵みを授けられた人であり、神様である主ご自身がともにおられるということです。マリヤは御使いガブリエルを見て、恐怖で動けなくなったりパニックに陥るようなことはありませんでした。多くの人は御使いを見ると、恐怖で動けなくなってしまいます。この対応からマリヤが主から選ばれた理由がわかります。マリヤは主を愛し、主がどのようなお方かを普段の交わりの中で知っていたのでしょう。もしも、自分が普段、神様に逆らっていたのなら、御怒りを下されることを恐れてパニックになると思いますが、マリヤはそのような恐れを抱いていないことから、主の御前に正しく歩んでいたことを伺い知ることができます。ただ、ガブリエルが言った「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」という挨拶がどういうことなのか考えこみました。それは、御使いに伝えられた「恵まれた方」が普通の恵みではないこと、「主がともにおられる」も、考えられないような恵みだからです。

 御使いは、マリヤに「こわがることはない。マリヤ。」と言っています。それは、これから彼女の身に起こることが、信じられないようなことだからです。ただ、その出来事は神様からの恵みであることを強調しています。そして、御使いはマリヤの身に起こる神様の奇跡を伝えました。御使いが伝えた、身ごもって、男の子を産みむという約束は、まだ、子どもを産むことなど想像もしていなかったマリヤにとって、驚くべき宣告です。そして、御使いは、生まれてくる子どもにイエスという名前を付けるように命じました。

ルカの福音書1章32~33節

32 その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。

33 彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」

(新改訳第三版)

 生まれてくる男の子、イエス様について御使いは、すぐれた者になり、いと高き方の子と呼ばれると言いました。「いと高き方」は、最も高い地位におられるお方、つまり神様です。ですから、イエス様は神の子と呼ばれると、御使いは語っています。ただ、日本では子は親よりもいくらか下に見られるかもしれませんが、ユダヤでは子は父と同じ性質であることを意味しています。ですから、イエス様はまことの神様だということです。また、イエス様はまことの神様であるのと同時に、まことの人間としてダビデの子として、ヤコブの家、つまりイスラエルの民を永遠に治めると約束されています。

 マリヤは、このような偉大なる神様を胎に宿し、その子を産むという驚くばかりの恵みを受けました。その恵みと同時に、大きな試練も受けました。聖霊によって神の御子を身ごもるということは、夫であるヨセフに信じてもらえないかもしれないという恐れ、人々から姦淫の罪を犯したと見られる危険を伴うことでもありました。しかし、マリヤは主がともにおられるということを信じ、その大切な使命を信仰により全うしようと心を決めました。

ルカの福音書1章30節

あなたは神から恵みを受けたのです。

(新改訳第三版)

マリヤは神様から特別な恵みを受けました。また、信仰のチャレンジを受けました。私たちは、マリヤが受けた恵みにより、マリヤが乗り越えた信仰の試練によって、救い主イエス・キリストの恵みを受けることができるようになりました。そして、私たちもそれぞれに神様の恵みを受けています。日々新しい恵みをいただいていますが、その恵みの中でもっとも大きな祝福は、主がともにおられるということです。御使いがマリヤに主がともにおられると祝福したように、私たちにも主イエス様がいつもともにいてくださいます。この恵みを忘れず、いつもイエス様がともにいて語りかけてくださる御声に耳を傾けましょう。そして、信仰のチャレンジを受けることがあっても、恐れることなく信仰の歩みを続けていきたいと願います。