2023年10月8日「信仰に導く奇跡」木下淳夫 師

タイトル信仰に導く奇跡
聖書ヨハネ4:43〜54
説教者木下淳夫師

信仰に導く奇跡

ヨハネの福音書4章43〜54節

 今日のテーマは「信仰に導く奇跡」です。

 私たちは、イエス様が語られるみことばを信じることが大切です。しかし、中には言葉だけでは信じられないという人もいます。もちろん、イエス様はそのような人がいることもご存知であり、その人も見捨てることはありません。そのような人たちのために、イエス様は奇跡を通してでも信仰を持つようにと命じておられ、そのしるしを与えてくださいます。私たちも、今日のみことばを通して、イエス様のみことば、また、奇跡を通して信仰を強めていただきたいと願っています。

ヨハネの福音書4章43〜45節

43 さて、二日の後、イエスはここを去って、ガリラヤへ行かれた。

44 イエスご自身が、「預言者は自分の故郷では尊ばれない」と証言しておられたからである。

45 そういうわけで、イエスがガリラヤに行かれたとき、ガリラヤ人はイエスを歓迎した、彼らも祭りに行っていたので、イエスが祭りの間にエルサレムでなさったすべてのことを見ていたからである。

(新改訳第三版)

 ユダヤの人たちは、エルサレムでの祭りが終わると自分の家に帰ります。イエス様の故郷はナザレですから、普通ならナザレに帰るのですが、イエス様は「預言者は自分の故郷では尊ばれない」と証言し、自分が遣わされるところは故郷のナザレではないということを弟子たちにも語っておられました。

 そして、イエス様がサマリヤで滞在してから向かわれたのがガリラヤ地方でした。ガリラヤの人で、過越の祭りに来ていた人たちは、イエス様がエルサレムでなさったしるしを目撃しましたので、イエス様をメシアであると信じていました。ですから、イエス様がガリラヤに来られたとき、彼らはイエス様を歓迎しました。

ヨハネの福音書4章46〜54節

46 イエスは再びガリラヤのカナに行かれた。そこは、かつて水をぶどう酒にされた所である。さて、カペナウムに病気の息子がいる王室の役人がいた。

47 この人は、イエスがユダヤからガリラヤに来られたと聞いて、イエスのところに行き、下って来て息子をいやしてくださるように願った。息子が死にかかっていたからである。

48 そこで、イエスは彼に言われた。「あなたがたは、しるしと不思議を見ないかぎり、決して信じない。」

49 その王室の役人はイエスに言った。「主よ。どうか私の子どもが死なないうちに下って来てください。」

50 イエスは彼に言われた。「帰って行きなさい。あなたの息子は直っています。」その人はイエスが言われたことばを信じて、帰途についた。

51 彼が下って行く途中、そのしもべたちが彼に出会って、彼の息子が直ったことを告げた。

52 そこで子どもがよくなった時刻を尋ねると、「きのう、第七時に熱がひきました」と言った。

53 それで父親は、イエスが、「あなたの息子は直っている」と言われた時刻と同じであることを知った。そして、彼自身と彼の家の者がみな信じた。

54 イエスはユダヤを去ってガリラヤに入られてから、またこのことを第二のしるしとして行われたのである。

(新改訳第三版)

 イエス様が向かわれたのは、ガリラヤ地方のカナでした。前回のカナ訪問では、婚宴の席でぶどう酒がなくなるというハプニングがあったのですが、今回は息子が病気で苦しんでいるので、いやして欲しいと願う王室の役人がやって来ました。この役人の息子はカナから離れたカペナウムにいて、今にも死にそうなほどでした。ですから、この役人はイエス様がガリラヤへ来られたと聞いて、カナにおられたイエス様のところへ行き、カペナウムに行って息子をいやして欲しいと願いました。しかし、イエス様はご自身がカペナウムに行くのではなく、この役人に自分だけでカペナウムに帰って行きなさいとお命じになりました。そして、「あなたの息子は直っています。」と、約束してくださいました。

 この人は、王室の役人ですから、自分が誰かに命じると、その人がどんなことでもしてくれたことでしょう。しかし、イエス様は、彼に信仰のチャレンジを与えられました。なぜなら、ユダヤ人たちは、「しるしと不思議を見ないかぎり、決して信じない」からです。もちろん、イエス様は、ご自身がカペナウムに行って、その病気の息子をいやすこともおできになりました。しかし、そうすると、この役人は息子がいやされたことを喜び、イエス様に感謝はするけれども、信仰を持つかどうかはわかりません。ですから、イエス様は、この役人に対し、また、彼の家族や王室の人々に対しても、イエス様こそ約束のメシア、キリストであるという信仰が芽生えるようなしるしを彼らに与え、多くの人が信仰を持つことができるように、みことばの約束を与えたうえで、この役人を家に帰しました。

 そして、この役人は、家に帰る途中でカペナウムから来たしもべに出会い、彼らから息子がいやされたことを告げられました。彼は息子がいやされた時間が、イエス様が「あなたの息子は直っている」とおっしゃった時間だったので、この役人はイエス様が普通の人間ではなく、まことの神様、約束のキリストだと信じました。また、彼の家の人たちも同様に、イエス様を信じました。

ヨハネの福音書14章11節

わたしが父におり、父がわたしにおられるとわたしが言うのを信じなさい。
さもなければ、わざによって信じなさい。

(新改訳第三版)

 イエス様は、この地上の生涯において、イエス様ご自身が父なる神様におり、父なる神様がイエス様におられること、つまり、イエス様と父なる神様は一つである、イエス様は父なる神様と同じまことの神様であることを信じなさいと命じておられました。イエス様は、ことばによって人々を信仰に導こうとされたのですが、中には言葉だけでは信じられない人もいました。そのような人には、イエス様がなさったわざ、奇跡を通してイエス様がまことの神様であることを信じるように命じられました。まさに、今回の役人がそうです。

 イエス様がことばだけでなく、奇跡を通してでも信じなさいと命じられたこと、イエス様が父なる神様と一つであること、イエス様がまことの神様、約束のメシアであることを信じることが、これほど大切なのは、永遠の命に関わることだからです。私たちも、疑いやすいところがあるかもしれません。しかし、イエス様は私たちが救いに至る信仰をしっかりと持つことができるように、さまざまな奇跡を通しても、ご自身が共におられること、愛しておられることを示してくださいます。今日、イエス様が語られたみことばが信じられないと思える時でも、イエス様にしるしを求めてください。そして、主が与えてくださる様々な奇跡を通して、信仰をしっかりともち続けてまいりましょう。