2022年5月1日「心の壁を取り除こう」木下淳夫 師

タイトル心の壁を取り除こう
聖書2コリント9:13~15
説教者木下淳夫師

 今日は、「心の壁を取り除こう」というテーマです。

 私たちは、できる限りすべての人と仲良くしたいと思うのですが、時として「この人とは関わりたくないな」と、心に壁を作ってしまうことがあるのではないでしょうか?この心の壁は、時として悪魔が私たちの心に植えつけてくる偽りの種が原因になっていることがあります。パウロが手紙を書いている時代では、ユダヤ人と異邦人の間に壁がありました。その壁を取り除くために、パウロがコリントの信徒に教えたことを学び、私たちも真理によって心の壁を取り除きたいと願っています。

コリント人への手紙第二 9章13〜15節

13 このわざを証拠として、彼らは、あなたがたがキリストの福音の告白に対して従順であり、彼らに、またすべての人々に惜しみなく与えていることを知って、神をあがめることでしょう。

14 また彼らは、あなたがたのために祈るとき、あなたがたに与えられた絶大な神の恵みのゆえに、あなたがたを慕うようになるのです。

15 ことばに表せないほどの賜物のゆえに、神に感謝します。

(新改訳第三版)

 エルサレムのユダヤ人信徒は、律法を守ることによって救われると教えられてきたため、イエス・キリストの恵みにより、信仰によって救われるという、新しい契約をそのまま受け入れられない人もいました。ですから、パウロたちの伝道によって、異邦人たちが救いに与り、神様を崇めるようになったという話を聞いても、彼らを兄弟姉妹として受け入れることが難しかったようです。

 パウロは、イエス様が互いに愛し合いなさいと命じられたことを実践することによって、異邦人も救いに与ること、そして、神様の家族であるということを、コリントの信徒に示してほしいと願っていました。ですから、パウロは、コリントの信徒が、エルサレムの信徒のために、献金を募ることを自分から計画したことをとても喜びました。そして、パウロは、この計画を実現することによって、キリストにあって、異邦人もユダヤ人も関係なく、すべての人が一つになることを願っていました。

 ユダヤ人の信徒たちは、異邦人の信徒に懐疑的なところはありました。しかし、実際に献金を受け取ったなら、それはコリントの信徒が、キリストの愛に根ざし、みことばに従順に従う人たちであり、けっして律法を粗末にしているわけではないことの証拠になります。そうして、ユダヤ人信徒も、コリントの信徒の献金に対して、神様へに感謝するだけでなく、コリントの信徒たちのためにも愛をもって祈るようになります。そのような恵みと賜物を神様ご自身が、異邦人にもユダヤ人にも、一人ひとりに与えてくださり、キリストにあって一つにしてくださいます。そのような神様のご計画、神様の恵みを覚えてパウロは感謝をしています。

 ユダヤ人と異邦人の間にあった隔ての壁は、イエス様の十字架によって打ち壊されました。しかし、人間は依然として、自分の思いの中で壁を造ってしまいます。現代でも反ユダヤの思想が続いていることを考えると、真理から離れてしまうなら敵対関係が生まれることがよくわかります。

これは、ユダヤ人と異邦人という関係にとどまりません。

ガラテヤ人への手紙 3章26〜28節

26 あなたがたはみな、キリスト・イエスに対する信仰によって、神の子どもです。

27 バプテスマを受けてキリストにつく者とされたあなたがたはみな、キリストをその身に着たのです。

28 ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリスト・イエスにあって、一つだからです。

(新改訳第三版)

 奴隷と自由人、男子と女子、そのような関係においても、人間は対立を生み出してしまいますが、イエス様を信じることによって、神様の子どもとしていただいた私たちは、みな神様の家族です。そして、私たちの主キリスト・イエス様にあって一つにされています。この真理を覚えるとき、私たちの心のうちにある、偽りの種から育った敵対心は取り除かれ、平和が与えられます。

 今、ロシアとウクライナの間で争いがあります。罪に対しては厳しく対処しなければなりませんが、単純に反ロシアのような感情を持って、心に壁を作ることがないようにしましょう。また、普段の生活でも、他の人に対して壁を作って遠ざけることがないように注意しましょう。心に偽りの種を根付かせないために、私たちをあらゆる点で豊かにしてくださる神様の真理のみことばに聞き従いましょう。そして、すべてのことについて、神様の恵みをあふれるばかりに受け取らせていただき、福音の告白に対して従順な生活をして、良い証をしていきたいと願います。