タイトル | ダビデの希望 |
聖書 | 歴代誌第一 17:10~14 |
説教者 | 木下淳夫師 |
今年のクリスマスは「新しい希望」というテーマで、聖書に登場する人物が、神様から与えられたクリスマスの希望を、みなさんとご一緒に学び、私たちも困難が続く時代ではありますが、新しい希望をいただきたいと願っています。
今日は、「ダビデの希望」というテーマで、ダビデが神様から与えられたクリスマスの希望を学ばせていただきましょう。
歴代誌第一 17章10〜12節
10 それは、わたしが、わたしの民イスラエルの上にさばきつかさを任命したころのことである。わたしはあなたのすべての敵を屈服させる。
わたしはあなたに告げる。『主があなたのために一つの家を建てる。』
11 あなたの日数が満ち、あなたがたの先祖たちのもとに行くようになるなら、わたしは、あなたの息子の中から、あなたの世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。
12 彼はわたしのために一つの家を建て、わたしはその王座をとこしえまでも堅く立てる。
(新改訳第三版)
ダビデはイエス様がお生まれになる1000年ほど前に、イスラエルの王になりました。ダビデは、父エッサイの8番目の子で、羊飼いをしていました。ダビデは幼い頃から主を愛し、主に信頼して、主の助けをいただきながら羊を養い、また、獣から羊を守っていました。そのようなダビデを、主がイスラエルの王にお選びになりました。
その当時、イスラエル人は、近隣の民族、特にペリシテ人と争っていました。ダビデは羊飼いでしたが、戦場の兄に食べ物を届けに行ったときに見たペリシテ人の勇者ゴリアテと闘い勝利したことから、戦士としてたくさんの戦場に赴き、イスラエルを守りました。そして、初代イスラエルの王サウルが戦死したことをきっかけに、ダビデがイスラエルの王座につくことになりました。
ダビデが王になっても、依然として争いは続きましたが、主は周囲の敵からダビデを守り、安息を与えてくださいました。その時、ダビデは自分は杉の木で造った家に住んでいるけれど、自分を守ってくださった主がおられることを象徴する契約の箱が、天幕に置かれたままだということに気付き、主のために立派な神殿を建てたいと願いました。そのように、ダビデは主の恵みを忘れず、いつも感謝して、自分ができる最高のものを主に捧げたいと願っていました。
ところが、主からの応答は、ダビデの思いとは異なっていました。ダビデが、主のために神殿を建てるのではなく、『主があなたのために一つの家を建てる。』と約束をしてくださいました。この家はダビデと、ダビデの子孫に約束された王家です。そしてダビデの子孫が、主の御名のために一つの神殿を建てると約束されました。この約束は、ソロモンによって成就しました。そして、イスラエル王国は、ダビデの子孫がとこしえまでも王となると約束されています。
戦争が続いた世の中で、王は真っ先に命を狙われます。敵から狙われることはもちろん、同じ国内でも王の権力を欲しいと思う人たちからも、命が狙われます。また、王様は自分の命だけでなく、家族の命も危険にさらされます。当時、新しい王になった人は、自分の権威を揺るがないようにするために、前の王だけでなく、その後継者になる人すべてを排除したからです。しかし、主の約束は「わたしはその王座をとこしえまでも堅く立てる」です。これは、ダビデにとって希望と平安を与える約束です。
しかし、イスラエルの歴史を見ると、イスラエル王国はソロモン王の後レハブアム王の治世に南北に分裂して、ダビデ王家は南ユダを治めました。しかし、南ユダ王国もバビロンに滅ぼされ、イスラエル王国も、ダビデの王座も失われてしまいました。主は約束を守って下さらなかったのでしょうか。
そのようなことはありません。1000年後、主はダビデに約束された一つの家に、救い主イエス・キリストを与えられました。その時には、王家ではありませんでしたが、約束通りダビデの子孫であるヨセフ、またマリアの子どもとして、イエス様はお生まれになりました。
歴代誌第一 17章13〜14節
13 わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。わたしはわたしの恵みをあなたの先にいた者から取り去ったが、わたしの恵みをそのように、彼から取り去ることはない。
14 わたしは、彼をわたしの家とわたしの王国の間に、とこしえまでも立たせる。彼の王座は、とこしえまでも堅く立つ。」
(新改訳第三版)
ここで「彼」と呼ばれているのは、イエス様のことです。ダビデは、主から自分の子孫の中に永遠に王国を治める王様が生まれるという約束をいただき、どれほど大きな希望を持ったことでしょうか。この約束通り、イエス様はダビデの子としてお生まれになり、すべての人を救うために十字架で命を捨て、三日目によみがえり天に昇られました。そして、再びこの地上に永遠の王として帰って来られます。
14節「 わたしは、彼をわたしの家とわたしの王国の間に、とこしえまでも立たせる。彼の王座は、とこしえまでも堅く立つ。」
ダビデは、主がともにいてくださることで、争いの中でも守りと平安が与えられました。また、永遠の希望を持つことができました。今、イエス・キリストの恵みにより、ダビデに約束された永遠の王がともにおられるという希望は、私たちの希望にもなりました。ダビデとともにおられた主は、今、私たちとともにいてくださいます。そして、主は私たちにも、守りと平安を与えてくださいます。この世界には困難がありますが、私たちにはイエス様がいつもともにいてくださり、救ってくださる希望があります。また、私たちを永遠の王国に招いてくださる希望があります。アドベントのこの時、イエス様が再び来られることを待ち望み、希望を持って歩ませていただきたいと願います。
コリント人への手紙第二 4章16〜18節
16 ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新たにされています。
17 今の時の軽い患難は、私たちのうちに働いて、測り知れない、重い永遠の栄光をもたらすからです。
18 私たちは、見えるものにではなく、見えないものにこそ目を留めます。見えるものは一時的であり、見えないものはいつまでも続くからです。
(新改訳第三版)