2021年7月18日「偽りを捨てよう」木下淳夫 師

タイトル偽りを捨てよう
聖書ペテロの手紙第二 2:10~16
説教者木下淳夫師

 今日は、「偽りを捨てよう」というテーマで、偽教師たちが教える偽りと、その愚かさを学ばせていただき、現代の教会に入り込む偽りに惑わされないようにしたいと願っています。

ペテロの手紙第二 2章10〜12節

10 汚れた情欲を燃やし、肉に従って歩み、権威を侮る者たちに対しては、特にそうなのです。彼らは、大胆不敵な、尊大な者たちで、栄誉ある人たちをそしって、恐れるところがありません。

11 それに比べると、御使いたちは、勢いにも力にもまさっているにもかかわらず、主の御前に彼らをそしって訴えることはしません。

12 ところがこの者どもは、捕らえられ殺されるために自然に生まれついた、理性のない動物と同じで、自分が知りもしないことをそしるのです。それで動物が滅ぼされるように、彼らも滅ぼされてしまうのです。

(新改訳第三版)

 ペテロは偽教師たちのことを、大胆不敵、尊大な者たち、栄誉ある人たちをそしって恐れるところがない人たちであると言っています。偽教師たちがどれほど大胆不敵な者、尊大な者であるのかということを、ペテロは御使いと比較しています。御使いは、人間よりもはるかに高い能力を持っています。また、戦ったなら人間が叶わないほどの力を持っています。しかし、御使いたちは、主の御前で自分たちの判断で、偽教師たちをさばくようなことはしません。なぜなら、御使いたちは、さばきは主がくだされるのであり、自分たちは主に従う者であることを認識しているからです。

 偽教師たちは、救いの恵みには無関心で自分のやりたいことをしています。ペテロは、そのような彼らの愚かさから、「捕らえられ殺されるために自然に生まれついた理性のない動物」と表現しています。実際にはそのような動物はいませんが、彼らの主を恐れず、汚れた情欲を燃やし、肉に従って歩み、権威を侮る愚かな振る舞いが、全く理性のない動物のようであり、その結果、彼らは自分の身に滅びを招くのだと教えています。

ペテロの手紙第二 2章13~16節

13 彼らは不義の報いとして損害を受けるのです。彼らは昼のうちから飲み騒ぐことを楽しみと考えています。彼らは、しみや傷のようなもので、あなたがたといっしょに宴席に連なるときに自分たちのだましごとを楽しんでいるのです。

14 その目は淫行に満ちており、罪に関しては飽くことを知らず、心の定まらない者たちを誘惑し、その心は欲に目がありません。彼らはのろいの子です。

15 彼らは正しい道を捨ててさまよっています。不義の報酬を愛したベオルの子バラムの道に従ったのです。

16 しかし、バラムは自分の罪をとがめられました。ものを言うことのないろばが、人間の声でものを言い、この預言者の狂った振舞いをはばんだのです。

(新改訳第三版)

 偽教師たちは、このように自分の愚かさのためにさばきを受けるのですが、ペテロは、彼らの愚かな行いを具体的に記しています。彼らは昼から飲み騒ぎます。偽教師たちが働くことをせず、快楽にふけっている様子がわかります。そのような、彼らの怠惰な生活は、教会の中でも変わりません。自分では教師だと言いながらも、教会の愛餐や、聖餐においても、自分勝手な教えによって、主との交わり、兄弟姉妹との交わりを乱していました。そのような者が、教師であるはずはありません。彼らは教会の中でも、しみや傷のようなものです。ペテロは偽教師たちが求めているものは罪であると言っています。彼らは絶えず罪を犯し続け、自分が罪を犯すだけでなく、心が定まっていない信徒をも惑わして、滅びに招いています。このことから、彼らは兄弟姉妹を祝福るする教師ではなく、呪いの子であるとペテロは言っています。

 ペテロは、偽教師たちが民数記に記されているベオルの子バラムと同様に、不義の報酬を愛していることを指摘しました。バラムは、イスラエルに敵対していたバラクに、イスラエルを呪うように雇われました。バラムは、バラクのもとに向かうとき、彼が乗っていたロバが、突然人間の言葉を話して、バラムの目の前に、御使いが立っていることを知らせ、バラムの愚かな行いをやめさせようとしました。それでも、バラムはバラクのところへ行って、呪いのことばを話そうとしましたが、主がイスラエルを守られたので、バラムはイスラエルを呪うことはできませんでした。その後、民数記には、直接記されていませんが、バラムはイスラエルに罠を仕掛けて、彼らが主に対して罪を犯すように仕向けたことが、民数記31章に記されています。バラムは自分が利益を得るために、主を恐れることなく、自分の欲望のまま行動し、人にも罪を犯すことを教えました。

 ここでペテロは、偽教師たちの愚かさについて、とても詳しく説明しています。そして、それらの行いは、滅びに至ることを宣言しています。ペテロがここまで、偽教師たちについて詳しく述べているのは、彼らが教会に入り込み、教会を中から腐敗させるからです。今まで、教会は外部からの迫害に耐えてきました。敵が外にいるときは、兄弟姉妹が心を合わせて忍耐し、立ち向かうことができました。しかし、敵が内部に入ったなら、分裂が引き起こされ、互いの交わりが絶たれます。すると、信仰の弱い信徒は真理の道から離れやすくなります。そのように、偽教師たちは、自分の利益のために、巧みに信徒を誘惑します。

エペソ人への手紙 4章25節

ですから、あなたがたは偽りを捨て、おのおの隣人に対して真実を語りなさい。
私たちはからだの一部分として互いにそれぞれのものだからです。

(新改訳第三版)

 偽りの教えが危険なのは、教会の土台であるイエス・キリストから、信徒を離れさせ、この世に従わせるようになるからです。その結果、教会には分裂が起こります。私たちは教会のメンバーというだけでなく、キリストのからだの大切な部分です。そして、互いがそれぞれのものであり、なくてはならない存在です。ですから、私たちは交わりの中で、人を罪に陥れるような偽りを捨て真実を語らなければなりません。また、偽りの教えに惑わされてはいけません。この世には魅力的な教えがたくさんありますが、キリストから離れさせようとする教えは、真理ではありません。あらゆる偽りに惑わされ従うことがないように、互いに真実のみことばを語り、励ましあってまいりましょう。