2021年3月14日「勝利の約束」木下淳夫 師

　イエス様を信じた人は神様の子どもです。神様の子どもはこの世から自由ですが、この世の制度に従うことが命じられています。また、苦しめられるときにも、悪をもって対抗するのではなく、善を行うことが命じられています。それは、神様がおゆるしになった制度のなかで、信徒が主を証しする機会となるからです。そのために、イエス様が残してくださった模範にならうことが、私たちにとって最善の道になります。

　今日の箇所では、①イエス様も苦しみを受けたことによって人々を神様に導かれた、②イエス様は人間を束縛していた悪霊に対して勝利を宣言された、③バプテスマを受けた人は救いが約束されている。この三つのことから、イエス様を信じた人は勝利の約束をいただいていることを確かめて、この世でも神様の御心を行っていきたいと願っています。

17〜18節　①イエス様も苦しみを受けたことによって人々を神様に導かれた

　この世は悪魔が支配していますので、人間は自分では何をしているのかわからないで、人に対して悪を行います。そのようなとき、神様の赦しの中で受ける苦しみなら、悪に対して悪で対抗するのではなく、善を行って苦しみを受けるほうが良いと教えられています。

　その模範がイエス様です。イエス様は、ご自身を迫害する者に対して、悪を行うことをせず、彼らを愛して「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」と祈ってくださいました。そして、イエス様は、すべての人の罪を背負い、身代わりになって十字架で、その重い罪の罰を受けてくださいました。それは、「私たちを神のみもとに導くため」と教えられています。罪が赦されなければ、人間は聖なる神様に近づくことができないからです。

19〜20節　②イエス様は人間を束縛していた悪霊に対して勝利を宣言された

　イエス様が、何も悪いことをしていないのに苦しみを受け、十字架で死なれたことは、人間の目で見ることができた事実でした。しかし、目に見えない真実は、違っていました。イエス様の霊は滅んだのではなく、死の力に勝利していました。そして、イエス様は霊において、ノアの時代に人々を神様から引き離し、悪を行わせていた悪霊たちのところへ行き、勝利を宣言されました。

　悪霊たちは、神様にさばかれて捕らわれていましたが、人間が死の支配から解放されなかったので、やがては自分たちの勝利だと思っていたのかもしれません。しかし、イエス様は、この悪霊たちに対して、人間はご自身の復活に与かり、死に対して勝利し、自由を得るということを宣言してくださいました。

　確かにノアの時代には、地上に悪が満ちていました。ただ、ノアとその家族だけが神様のみこころにかなった歩みをしていました。ですから、神様はノアに箱舟を造るように命じ、救いの道を開いてくださいました。

21〜22節　③バプテスマを受けた人は救いが約束されている。

　神様がノアに造るように命じられた箱舟は、罪に対してくだされるさばきから救うバプテスマをあらかじめ示した型です。ですから、神様への誓いとして、また、信仰の応答として受けたバプテスマは、肉体の汚れを取り除く儀式ではありません。キリストの復活に与かり、この世の支配、死の支配から自由にされたことを約束しているということです。つまり、バプテスマを受けた人は、ノアたちがこの世の支配から信仰によって離れ、罪に対してくだされるさばきを免れて命を得たように、信仰によって死に対して勝利したことが約束されています。

　イエス・キリストの勝利が確かである証拠は、イエス様が肉体を持って復活されたこと、また、二度と死ぬことはなく、生きたまま天に上られたことからわかります。そして、目には見えませんが、今イエス様は御使いたち、および、もろもろの権威と権力を従えて、神様の右の座に着いておられます。

　つまり、イエス様を信じてバプテスマを受けた信徒は、たとえこの世で苦しみを受けても、イエス様のように神様の御心に従って善を行うなら、決して滅ぶことはなく、最後には勝利が与えられることが約束されています。

　皆さんは、理不尽な苦しみを受けることがありますか？そのようなとき、多くの人は同じように悪を行いやすいものです。しかし、正しい良心によって神様への誓いをし、バプテスマを受け、神様の子どもにしていただいた私たちは、イエス様が一度罪のために死なれたけれども、霊において生かされ、死に勝利し、高く引き上げられたことを覚えましょう。この勝利の約束をかたく信じて、神様の御心に従って善を行って、イエス・キリストの愛と恵みを宣べ伝えてまいりましょう。イエス様のように善を行うなら、神様は私たちもイエス様と同じように高く引き上げてくださいます。