2021年6月13日「加えられる御国に入る恵み」木下淳夫 師

タイトル加えられる御国に入る恵み
聖書ペテロの手紙第二 1:5~11
説教者木下淳夫師

 御国というのは、死んでから行くところというわけではありません。御国が意味していることは、神様が支配しておられる国です。私たちが、この地上にいる間も神様の御愛のうちで生かされていることを考えると、今も御国に入れていただいていることがわかります。ですから、私たちが、ただ御国に入るだけでなく、そこでさらに大きな恵みを受けることができることを学ばせていただきましょう。

 はじめに、5節で「こういうわけですから」とありますので、どういうわけか復習しましょう。

4節「その栄光と徳によって、尊い、すばらしい約束が私たちに与えられました。それは、あなたがたが、その約束のゆえに、世にある欲のもたらす滅びを免れ、神のご性質にあずかる者となるためです。」

 私たちが滅びを免れ、神様のご性質にあずかる者となるため、尊い、すばらしい約束が与えられたという事実に基づいて、5節以降の命令が続きます。

 神様は霊であるお方で、永遠に生きておられるお方です。人間は、地のチリから肉体が造られ、その肉体に神様がいのちの息を吹き込んでくださったので、生きるものになりました。神様と同じように、永遠に生きるようになりました。そして、この地を神様の御心に従って治めることが、人間の使命として与えられました。しかし、最初の人であるアダムは罪を犯したために、神様との交わりを失いました。そのために、神様がアダムをはじめ、すべての人間に備えてくださった、神様のご性質である、永遠のいのちを、人間は失ってしまいました。

 そのような人間に対して、神様は、イエス・キリストの栄光と徳によって、罪の赦しを与え、永遠のいのちを与え、神様のご性質にあずかる者に変えられる約束をくださいました。これは、私たちの目には見えない霊的な変化です。イエス様を信じたなら、その人は神様の子どもに変えられています。神様の子どもになったのなら、この世で神様に背を向けた罪を犯す生き方は、ふさわしくありません。そのために、神様はイエス様を信じた人たちが、神様の子どもとして生きるために必要な知恵を、聖霊を通し、また、使徒たちを通し、聖書を通して教えてくださっています。

ペテロの手紙第二 1章5〜7節

5 こういうわけですから、あなたがたは、あらゆる努力をして、信仰には徳を、徳には知識を、

6 知識には自制を、自制には忍耐を、忍耐には敬虔を、

7 敬虔には兄弟愛を、兄弟愛には愛を加えなさい。

(新改訳第三版)

このところをことばを補いながら訳してみます。

信仰を持ったなら、信じているイエス様にふさわしい良い心と行いを身につけなさい。良い心と行いを身につけるために、イエス様を知る知識を増やしなさい。イエス様を知る知識を増やすなら、知識が偏り高ぶることがないように自制を心がけなさい。自制するにあたって、忍耐が必要になります。忍耐は辛いかもしれませんが、主を信じて忍耐するなら、敬虔さが増し加えられます。その敬虔さをもって、隣人に愛を施しなさい。隣人への愛の施しをするとき、イエス・キリストの愛を加えなさい。

 このように、ペテロはイエス様を信じた信徒たちに命じています。

ペテロの手紙第二 1章8〜9節

8 これらがあなたがたに備わり、ますます豊かになるなら、あなたがたは、私たちの主イエス・キリストを知る点で、役に立たない者とか、実を結ばない者になることはありません。

9 これらを備えていない者は、近視眼であり、盲目であって、自分の以前の罪がきよめられたことを忘れてしまったのです。

(新改訳第三版)

 5〜7節は一見すると面倒なことが命じられていると思うかもしれません。しかし、このように少しずつステップアップして、愛を増し加えるようになるなら、だれでも主イエス・キリストを深く知ることができ、キリストの弟子として、キリストの体として、役に立たない者とか、実を結ばない者になることはありません。多くの人は、早く良い結果を得たいと思うので、ここに命じられたステップをとばして、自分で考えた愛のある行いをするかもしれません。しかし、それは自分だけが良いと思う結果になるかもしれませんが、すべての行いはイエス様の弟子として、イエス様の体としてなすべきです。そのために、イエス様から離れてはいけません。遠回りかもしれませんが、自分が今まで自分勝手に生きてきたことが罪であり、滅びに至る者であったことを忘れず、神様の子どもとして与えられた生き方を見つけることが大切です。

ペテロの手紙第二 1章10〜11節

10 ですから、兄弟たちよ。ますます熱心に、あなたがたの召されたことと選ばれたこととを確かなものとしなさい。これらのことを行っていれば、つまずくことなど決してありません。

11 このようにあなたがたは、私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの永遠の御国に入る恵みを豊かに加えられるのです。

(新改訳第三版)

 そのために、約束のみことばを確信して、与えられたみことばを実践してまいりましょう。そうするときに、イエス・キリストの永遠の御国に入る恵みを豊かに加えていただくことができます。御国に入ることができるだけでなく、そこで受ける恵みをさらに豊かにすることができます。

 永遠の滅びを免れ救いをいただき御国に入ることができることは、素晴らしい恵みですが、神様はそこをゴールとしてはおられません。一人一人が神様の子どもとして成長し、さらにたくさんの恵みを受け取ってくれることを願っておられます。そのために与えてくださったみことばを握り、聖霊様の助けをいただいて、恵みの上に恵みをまし加えていただきたいと願います。