2023年6月18日「メシヤに会った」木下淳夫 師

タイトルメシヤに会った
聖書ヨハネ1:35〜42
説教者木下淳夫師

 今日は、「メシヤに会った」というテーマです。

 イエス様の弟子になったアンデレは、兄のペテロをイエス様のもとに連れて来るために、「私たちはメシヤに会った」と言いました。メシヤ、キリストとの出会いは、人を動かします。私たちも、イエス・キリストにお会いしたことを思い起こし、身近な人にイエス様を伝えたいと願っています。

ヨハネの福音書1章35〜39節

35 その翌日、またヨハネは、ふたりの弟子とともに立っていたが、

36 イエスが歩いて行かれるのを見て、「見よ、神の小羊」と言った。

37 ふたりの弟子は、彼がそう言うのを聞いて、イエスについて行った。

38 イエスは振り向いて、彼らがついて来るのを見て、言われた。「あなたがたは何を求めているのですか。」彼らは言った。「ラビ(訳して言えば、先生)。今どこにお泊まりですか。」

39 イエスは彼らに言われた。「来なさい。そうすればわかります。」そこで、彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を知った。そして、その日彼らはイエスといっしょにいた。時は第十時ごろであった。

(新改訳第三版)

 バプテスマのヨハネは、ラビではありませんでしたが、弟子になりたいと願い出る人がいました。この日、バプテスマのヨハネは、二人の弟子といっしょに立っていました。おそらく、前日に、ヨルダンの向こう岸のベタニヤに、約束のキリストであるイエス様が来ておられたので、バプテスマのヨハネは、また、イエス様が近くに来てくださると考えていたのでしょう。そして、ヨハネと弟子たちが立っているところに、イエス様がやって来られました。

 バプテスマのヨハネは、イエス様を見て「見よ、神の小羊」と言いました。それは、ヨハネに従っていた二人の弟子たちに、自分ではなくイエス様に従うように命じる言葉でもありました。バプテスマのヨハネが言った言葉を聞いて、二人の弟子たちは、イエス様について行きました。

 イエス様は、この二人がついて来るのを見て、「あなたがたは何を求めているのですか。」と、尋ねました。このやり取りは、ユダヤのラビに人々が弟子入りする方法です。弟子入りを志願する人は、気に入ったラビについて行きます。それは、数時間から数日だと言われています。その間に、ラビのことをしっかりと観察して、弟子入り志願をするのか検討します。それに対して、ラビは弟子になりたいと思っているのか確かめるために、「あなたがたは何を求めているのですか。」と質問します。それに対して、弟子になりたいと思ったなら、「ラビ。今どこにお泊まりですか。」と、質問してゆっくりとラビの話を聞きたいことを伝えます。ラビは弟子入りを許可するなら、「来なさい。そうすればわかります。」と答えます。許可しないときは、「お前と何の関係があるのか」と答えます。このように、バプテスマのヨハネに従っていた二人の弟子は、イエス様に弟子入りすることになりました。

ヨハネの福音書1章40〜42節

40 ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。

41 彼はまず自分の兄弟シモンを見つけて、「私たちはメシヤ(訳して言えば、キリスト)に会った」と言った。

42 彼はシモンをイエスのもとに連れて来た。イエスはシモンに目を留めて言われた。「あなたはヨハネの子シモンです。あなたをケパ(訳すとペテロ)と呼ぶことにします。」

(新改訳第三版)

 このふたりの弟子はアンデレと、名前は出ていませんが、この福音書の著者ヨハネです。二人はイエス様と交わりを持ち、イエス様の話をゆっくりと聞いたことで、バプテスマのヨハネが言っていた通り、この方こそキリスト、メシヤであると確信しました。そして、アンデレは、自分が待ち望んでいたメシヤに会った喜びを、多くの人に知らせようとしました。そこで、まず自分の兄弟シモンを探しました。アンデレが、どれほどメシヤを待ち望んでいたのか、また、メシヤの到来がイスラエルにとってどれほど大きな希望だったのか、それが、「私たちはメシヤに会った」という言葉に現れています。

 シモンがアンデレの言葉を聞いてすぐに信じたのかはわかりませんが、アンデレがシモンをイエス様のところへ連れた来たということから、アンデレの熱心さがわかります。そして、イエス様はシモンに対して、「わたしはあなたのことをケパと呼びます」と言いました。ケパは岩という意味で、ギリシャ語ではペテロと言います。もちろん、シモンが岩のような外見だったわけではないでしょうし、彼の性格もアンデレに連れて来られるところを見ると、岩というような性格ではなかったでしょう。しかし、イエス様は、将来シモンが岩のような信仰を持ち、教会の礎となることを知っておられました。ですから、シモンに対してケパ、ペテロと名付けられました。

ヨハネの福音書1章41節

「私たちはメシヤに会った」と言った。

(新改訳第三版)

 今日、私たちが覚えたいことは、私たちもメシヤに会ったということです。イエス様が私たちの罪を背負って十字架で死んでくださり、墓に葬られて三日目によみがえってくださったことを、私たちは信仰を持って信じました。私たちも、目では見ていませんが、信仰の目を通して、イエス様にお会いし、今もイエス様と共に生きる生涯にしていただいています。

 アンデレは、メシヤに会うという経験を通して、その喜びをまず兄弟に伝えました。そして、その後さらに多くの人に宣べ伝えていきます。私たちは、アンデレのように、自分の家族や友人をイエス様のもとへ連れて行こうという熱意を持っているでしょうか。アンデレが、イエス様がメシヤであるという確信と伝道の熱意をもったきっかけは、イエス様との静かな交わりです。私たちは、イエス様のことを知らないければ、イエス様を証しすることはできません。私たちが、イエス様との交わりを求めるなら、イエス様は喜んで「来なさい。そうすればわかります。」と言ってくださり、深い交わりを与えてくださいます。イエス様との交わりを通して、イエス様が素晴らしいメシヤであることを確信し、家族や友人をイエス様のもとへお連れしてまいりましょう。