2021年1月3日「信仰の試練は尊い」木下淳夫 師

　昨年から続く、新型コロナウイルスの感染拡大は、終息の見通しが立たず、まだしばらく困難が予想されます。そのような中で、私たちは何を頼りに生きるべきなのか、と考えさせられます。

　今年は、そのような困難な状況において、ペテロの手紙第一を学ぶように導かれました。この手紙を通して、私たちもいましばらく続く困難を忍耐し、希望を持ち続けていきたいと願っています。

　神様の選びは、神様が将来のことをご覧になったことに従って、一人ひとりに最善の時に、最善の方法で聖霊様が働きかけてくださることです。神様がその人をお選びになる理由は、その人を罪の奴隷から解放し、イエス・キリストに従うため、血の注ぎかけを受け、聖なる者として、主の働きを行うためです。

ペテロが手紙を書き記した人たちは、そのように神様が御目を留めてお選びになった、恵みによって教会に集うようになった人たちです。しかし、ペテロが手紙を書いた時代は、教会にとって苦しい時代でした。信仰のゆえに迫害される時代でした。

　ペテロは、困難に直面している信徒たちに対して、父なる神様に目を向けるように語りかけています。なぜなら、すべてのことが、神様から発し、神様によって成り、神様に至るからです。今の状況も、神様の許しの中で起こっていることであり、その困難に耐えることができる力も、助けも、脱出の道もすべて神様が用意してくださっていることを思い起こすためです。

　イエス・キリストを信じた信徒は、イエス様の復活によって、新しく生まれています。イエス様を信じる者は、永遠の滅びを受けるものではなく、死んでも生きる者にされています。ですから、この世にあって、どのような状況に陥ったとしても生きる希望があります。また、永遠のいのちによる生涯は、神様が与えてくださる天の宝によって、豊かな生活が約束されています。確かに、今は苦しい状況ではありますが、神様の守りは変わることなく、終わりの時には用意されている救いをいただき、永遠の平安に入ることができます。

　ペテロは、兄弟姉妹に、父なる神様の大きなあわれみによって、信徒は永遠に失われることがない希望の約束を与えられていることを語っています。そして、困難を乗り越えるために必要な信仰が、神様から与えられていることを思い起こさせています。

　「あなたがたは大いに喜んでいます。」とあります。これは、跳び上がって喜ぶという意味の言葉（アガリアオー）です。イエス様が、山上の説教で「喜びなさい、喜びおどりなさい。」とおっしゃった言葉と同じです。おそらく、本当に喜びおどっている人はほとんどいなかったと思いますが、ペテロは、イエス・キリストの恵みを受けていることを思い出して、喜びおどるように励ましていると考えられます。

　ペテロは何の根拠もなく、試練はなくなるとは言いません。はっきりと、しばらくの間、さまざまな試練があることを認めます。それでも、喜びおどることができるのは、この試練によって、一人ひとりの信仰がより強くなるからです。イエス様が十字架を忍んでくださったように、イエス様と同じ道をたどることにより、イエス様の愛を経験することになるからです。そして、イエス様がどんなときでも父なる神様とひとつであったように、私たちも強い絆で神様と結ばれるようになるからです。そして、その結果キリストに似た者へと変えられ、イエス様が再臨されるとき、称賛と光栄と栄誉を受けることができます。

　今流行している新型コロナウイルスは、私たちの命と健康を脅かします。また、経済的にも損害を受けます。何よりも、人間関係を壊されることが普通の病気とは大きく異なる点でしょう。さらに、私たちにイエス様を信じる者にとっては、信仰の試練という側面があることを忘れてはいけません。今まで通りが通用しない時代ですので、一人ひとりが積極的にイエス様との交わりを持とうとしなければ、イエス様に従う気持ちが薄れて、気がついたときにはこの世に歩調を合わせているかもしれません。

　ですから、とても喜べない時代ではありますが、神様の大きなあわれみを受けていること、日々、神様のご愛に満たされ、守っていただいていることに目を向けて、喜びおどりましょう。そして、イエス様が再臨されるときに受ける称賛と光栄と栄誉を待ち望み、希望を持って今の時代を歩ませていただきましょう。