2024年4月14日「イエス様を憎む世」木下淳夫 師

タイトルイエス様を憎む世
聖書ヨハネ7:1~9
説教者木下淳夫師

今日は、「イエス様を憎む世」というテーマです。

 私たちが住むこの世は、アダムが犯した罪のために、悪魔が支配するようになりました。ですから、この世では偽りが満ち、神様に敵対する力が強くなっています。今日、私たちは、この世の性質を覚えて、イエス様を憎む世と調子を合わせてしまうことがないように注意したいと願っています。

ヨハネの福音書7章1~5節

1 その後、イエスはガリラヤを巡っておられた。それは、ユダヤ人たちがイエスを殺そうとしていたので、ユダヤを巡りたいとは思われなかったからである。

2 さて、仮庵の祭りというユダヤ人の祝いが近づいていた。

3 そこで、イエスの兄弟たちはイエスに向かって言った。「あなたの弟子たちもあなたがしているわざを見ることができるように、ここを去ってユダヤに行きなさい。

4 自分から公の場に出たいと思いながら、隠れた所で事を行う者はありません。あなたがこれらの事を行うのなら、自分を世に現しなさい。」

5 兄弟たちもイエスを信じていなかったのである。

(新改訳第三版)

 イエス様は、公生涯を始めてから、神の国の福音を語り、病の人を癒し、悪霊に取りつかれた人を解放してくださいました。そのため、多くの人がイエス様を約束されたキリスト、ダビデの子であると信じて従っていました。この状況をユダヤ人の指導者たちは、自分たちの地位が脅かされると考え、良く思っていませんでした。ですから、彼らはイエス様がモーセの律法に反する者であるという証拠をつかもうとして、さまざまな問答を仕掛けました。しかし、彼らの思惑とは異なり、イエス様の人気はどんどん高まっていました。

ところが、カペナウムで語られたメッセージを聞いた人たちが、イエス様につまずき、イエス様の御許を離れていきました。また、イエス様がイスカリオテのユダを悪魔であるとおっしゃったように、悪魔の働きがいよいよ強く働き始めました。ですから、エルサレムを中心としたユダヤ地方では、イエス様を殺そうという策略が動き始めていました。

さらに、ヨハネはイエス様の兄弟すらも、イエス様を信じていなかったことを記しています。イエス様の兄弟たちは、イエス様にエルサレムで行われている仮庵の祭りに行って、そこでしるしを示すように勧めました。この仮庵の祭りは、ゼカリヤの預言を通してキリストが王となったときにお祝いされる祭りであると信じられていました。ですから、この祭りに集まる人たちは、毎年キリストの来臨を切望して祭りを祝っていました。そこで、イエス様がしるしを示せば、多くの人がイエス様をキリストとして、また、イスラエルの王として信じるだろうと、イエス様の兄弟たちは言っています。彼らはイエス様が王になれば、自分たちも高い地位が与えられると考えていたのに、多くの人が離れたので、イエス様に皮肉を込めてこのように勧めているのだと考えられます。

ヨハネの福音書7章6~9節

6 そこでイエスは彼らに言われた。「わたしの時はまだ来ていません。しかし、あなたがたの時はいつでも来ているのです。

7 世はあなたがたを憎むことはできません。しかしわたしを憎んでいます。わたしが、世について、その行いが悪いことをあかしするからです。

8 あなたがたは祭りに上って行きなさい。わたしはこの祭りには行きません。わたしの時がまだ満ちていないからです。」

9 こう言って、イエスはガリラヤにとどまられた。

(新改訳第三版)

 イエス様は兄弟たちの勧めであっても、「わたしの時はまだ来ていません。」とおっしゃって仮庵の祭りに行くことを拒否されました。イエス様の時というのは、イエス様が十字架にかかられるときのことを指しています。そして、その時は父なる神様が定めておられるときであり、イエス様はその時がまだ来ていないことをご存じでした。イエス様はこのように、父なる神様が定められたときに従っておられたのですが、不信仰な人たちは、神様のご計画など無関係に行動するので、いつでも自分の時として行動することができました。これは、神様から離れて自分勝手に生きている人たちに向けた、イエス様の痛烈な批判です。また、悪魔が支配している世があなた方を憎むことができないというのも、彼らが悪魔に従っていることを示す批判のことばです。

 そして、イエス様は、ご自身が世に憎まれていることを認めておられます。多くの人がイエス様に従っているようでしたが、イエス様がこの世の行いが悪いことを証するために、この世からは憎まれていているのだとイエス様はおっしゃいました。そして、兄弟たちの勧めに従って仮庵の祭りに行くことはなさらず、ガリラヤにとどまられました。

ヨハネの福音書7章7節

世はあなたがたを憎むことはできません。しかしわたしを憎んでいます。
わたしが、世について、その行いが悪いことをあかしするからです。

(新改訳第三版)

 この世はイエス様を憎みます。それは、イエス様が何か悪いことをしたからではありません。この世が悪魔の支配下で悪いことをしていること、悪魔の思いに従っていることを、イエス様が指摘し批判するために、この世はイエス様を憎みます。いわゆる逆恨みです。イエス様を信じない人でも、イエス様が語られたみことばに対して、また、愛の行いに対して批判する人はいません。誰もが聖書に記されているみことばや、イエス様が行われたことを称賛するのですが、イエス様を信じて従う人は多くありません。なぜなら、この世の人たちは、気づかないうちに悪魔を主として従っているからです。だれも二人の主人に仕えることはできません。

 私たちも、この世と歩調を合わせるなら、イエス様が語られることを真理であると思いつつも、イエス様を憎み、批判するようになってしまいます。本当は自分の行いの方が間違っているにもかかわらず、イエス様を悪者にしようとしてしまいます。ですから、この世の情報とイエス様のみことばが対立するときに、悪魔の策略に陥らないように、心を静めてみことばを心にとめましょう。そして、イエス様を憎むように惑わす声に負けることなく、私たちの救い主であるイエス様を愛して従っていきたいと願います。