タイトル | ヤコブの子ヨセフへの希望の光 |
聖書 | 創世記39:1~5 |
説教者 | 木下淳夫師 |
今年のクリスマスは「希望の光」というテーマです。
今は、新型コロナウイルスの感染が、いつ終息するのかわからない中で、一人一人ができる対策を精一杯続けている毎日です。そのように出口が見えないトンネルに入り込んだような状況ですが、神様はこの世をお見捨てになるお方ではなく、希望の光を与えてくださるお方であることを再確認して、クリスマスを待ち望みましょう。
旧約聖書に登場するヨセフは、イスラエルと名付けられたヤコブの子どもです。ヨセフにはお兄さんが10人いました。しかし、お父さんのヤコブが一番可愛がったのはヨセフでした。それだけでも、お兄さんたちから妬まれていたのですが、ヨセフは自分に対してお兄さんたちがひざまずくということを意味する夢を見たと言って、それをお兄さんたちに話してしまい、お兄さんたちから憎まれるようになってしまいました。そのため、ヨセフはお兄さんたちに襲われました。命だけは助けられたのですが、ヨセフは奴隷としてエジプトに売られてしまいました。
創世記39章1節
1 ヨセフがエジプトへ連れて行かれたとき、パロの廷臣で侍従長のポティファルというひとりのエジプト人が、ヨセフをそこに連れて下って来たイシュマエル人の手からヨセフを買い取った。
(新改訳第三版)
ヨセフをエジプトに連れて行ったのは、イシュマエル人です。そして、ヨセフを買い取ったのは、エジプトの王パロの王宮で仕え、身の回りの世話を任されていた王からの信頼が厚いポティファルです。そのような身分が高い人物にヨセフは買い取られ、彼のもとで働くことになりました。奴隷として売られたのですから、その後の人生は希望などないと思われます。
創世記39章2~5節
2 主がヨセフとともにおられたので、彼は幸運な人となり、そのエジプト人の主人の家にいた。
3 彼の主人は、主が彼とともにおられ、主が彼のすることすべてを成功させてくださるのを見た。
4 それでヨセフは主人にことのほか愛され、主人は彼を側近の者とし、その家を管理させ、彼の全財産をヨセフの手にゆだねた。
5 主人が彼に、その家と全財産とを管理させた時から、主はヨセフのゆえに、このエジプト人の家を祝福された。それで主の祝福が、家や野にある、全財産の上にあった。
(新改訳第三版)
ヨセフは、お兄さんたちに売られたのですから、本当に不幸な境遇にありました。しかし、彼の暗闇の人生に光を与えてくださったのが主なる神様です。
2節 主がヨセフとともにおられたので、彼は幸運な人となり、そのエジプト人の主人の家にいた。
奴隷ですから、どこで働かされても文句は言えません。当然、奴隷を買う人は、自分がすることが危険な仕事や、厳しい仕事をさせるために奴隷を買います。ヨセフも、そのような重労働をさせられてもおかしくなかったのですが、主がヨセフとともにいてくださったので、ヨセフは幸運な人になり、そのような重労働をすることなく、主人の家で働くことができました。
そればかりでなく、主はいつもヨセフとともにいてくださり、ヨセフがすることすべてを成功させてくださいました。その成功は、ポティファルが見ても、ヨセフが自分の力で行っているのではないと思えるような、奇跡的な成功だったようです。そのような不可能と思えることも成し遂げる、驚くべき仕事を続けたヨセフですから、主人からは特に大切にされました。そして、ヨセフは奴隷として買われてきたのに、主人の側近になり、その家の管理を任されました。ポティファルは、ヨセフに任せておけば、自分の財産は安心だと考えていたと思いますが、ヨセフとともにおられた主は、ポティファルの予想を超えて、ポティファルの家庭までも豊かに祝福してくださり、野にある全財産にも祝福をもたらしてくださいました。
このように、絶望的な状況でも、主は愛する者とともにいてくださいます。そして、その人を祝福し、幸運な人にしてくださいます。また、その人だけでなく、その人が主によって祝福されていることを認め、その人を大切にするなら、主の祝福はその人にも与えられます。主の祝福は、一人から始まり、次々に広がっていきます。
ローマ人への手紙8章35節
35 私たちをキリストの愛から引き離すのはだれですか。患難ですか、苦しみですか、迫害ですか、飢えですか、裸ですか、危険ですか、剣ですか。
(新改訳第三版)
パウロは、イエス様は、ご自身を信じて従う者を愛してくださり、その愛は患難や苦しみ、飢えや剣ですら、私たちを引き離すことはできないと宣言しています。そして、最後に39節で力強い宣言がされています。
ローマ人への手紙8章39節
39 高さも、深さも、そのほかのどんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。
(新改訳第三版)
今、私たちを暗闇に閉じ込め、絶望させようとする力が働いています。しかし、ヨセフを救った希望の光である主は、今私たちの希望の光として、ともにいてくださいます。
「どんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。」
人となってこの世に来てくださった真の神様であるイエス様は、私たちの悩みや悲しみ、苦しみを知っていてくださり、希望の光となってくださっています。そして、イエス様はどのような困難の中でも、私たちを離れることなく、祝福してくださいます。そして、イエス様が私たちと共にいてくださることにより、私たちが平安をいただいているなら、その私たちを見た人たちにも祝福が及びます。ウイルスの感染が広がっていますが、私たちは主の祝福の基となることができます。主がともにいてくださることを感謝して、先の見えない状況でも希望を持って、歩んでまいりましょう。