2020年11月15日「王になったダビデ」木下淳夫 師

タイトル王になったダビデ
聖書2サムエル5:1~10
説教者木下淳夫師

 今日は、「王になったダビデ」というテーマです。ダビデの生涯をサムエル記から学んできましたが、サムエル記第二5章で、いよいよダビデはイスラエルの王になったことが記されています。ダビデが王になるまでの険しい道のりを覚えながら、ダビデが王になった背後にある神様の導きを学び、不安が多い時代に生きる私たちも、勇気を持ってこの世の生涯を歩んでいきたいと願っています。

サムエル第二5章1〜5節

1 イスラエルの全部族は、ヘブロンのダビデのもとに来てこう言った。「ご覧のとおり、私たちはあなたの骨肉です。

2 これまで、サウルが私たちの王であった時でさえ、イスラエルを動かしていたのは、あなたでした。しかも、主はあなたに言われました。『あなたがわたしの民イスラエルを牧し、あなたがイスラエルの君主となる。』」

3 イスラエルの全長老がヘブロンの王のもとに来たとき、ダビデ王は、ヘブロンで主の前に、彼らと契約を結び彼らはダビデに油をそそいでイスラエルの王とした。

4 ダビデは三十歳で王となり、四十年間、王であった。

5 ヘブロンで七年六か月、ユダを治め、エルサレムで三十三年、全イスラエルとユダを治めた。

(新改訳第三版)

 ダビデはサウルが王である間も、ヘブロンの町で王として、ユダ部族を治めていました。しかし、サウルがペリシテ人との戦いで戦死したため、王を失ったイスラエルの民は、ダビデのもとに来て、ダビデにイスラエルの王になってくれるように願いました。ダビデは彼らの申し出を受け入れ、彼らと契約を結び、全イスラエルの王になりました。

 ダビデのここまでの生涯を振り返ってみましょう。羊飼いだったダビデは、主に選ばれサムエルによって油を注がれました。ダビデは、ペリシテ人の戦士ゴリヤテがイスラエルをなぶったときには、一人でゴリヤテに立ち向かってこれを倒し、イスラエルに勝利をもたらしました。その後も、遣わされた戦場で勝利を重ねました。しかし、サウルの妬みから、主君であるサウルにいのちを狙われ、イスラエルの地を離れ、ペリシテ人の地に逃れなければならないという試練に遭いました。しかし、ダビデはそのような試練の中でも、主に信頼し続け、自分の進むべき道を主に伺いながら選び取っていきました。そして、ついに約束されたように、イスラエルの王として、イスラエルの人々から任職の油を注がれ、全イスラエルの王になりました。

サムエル第二5章6~10節

6 王とその部下がエルサレムに来て、その地の住民エブス人のところに行ったとき、彼らはダビデに言った。「あなたはここに来ることはできない。目の見えない者、足のなえた者でさえ、あなたを追い出せる。」彼らは、ダビデがここに来ることができない、と考えていたからであった。

7 しかし、ダビデはシオンの要害を攻め取った。これが、ダビデの町である。

8 その日ダビデは、「だれでもエブス人を打とうとする者は、水汲みの地下道を抜けて、ダビデが憎む、目の見えない者、足のなえた者を打て」と言った。このため、「目の見えない者、足のなえた者は宮に入ってはならない」と言われている。

9 こうしてダビデはこの要害を住まいとして、これをダビデの町と呼んだ。ダビデはミロから内側にかけて、回りに城壁を建てた。

10 ダビデはますます大いなる者となり、万軍の神、主が彼とともにおられた。

(新改訳第三版)

 エルサレムは、サウルが統治していた北の十部族と、ユダ、ベニヤミンの南の二部族の中間に位置していました。また、三方を山に囲まれていて、敵が攻めずらい地形でした。さらに、水の確保が重要なイスラエルにおいて、エルサレムにはギホンの泉という水源もありました。ですから、ダビデは、全イスラエルの王になったとき、エルサレムをイスラエルの首都にしよう考えました。ところが、エルサレムには、エブス人たちが住んでいました。

 彼らは、ダビデたちには、堅固なエルサレムは攻略できないと思っていました。しかし、ダビデは水汲みの地下道から入って、エブス人たちを打ち倒しました。ダビデはエブス人たちがダビデをあざけった言葉に対して、皮肉を込めて「ダビデが憎む、目の見えない者、足のなえた者を打て」と、応じています。もちろん、警備をしていたのは、訓練された戦士たちだったのですが、彼らはダビデたちの前では、なす術もなく倒されていったことが想像できます。

 ダビデはこのように、イスラエルの王になって、全部族を統治するために、エルサレムを首都に定めました。そして、ペリシテ人たちとの戦いが続いていた時代ですから、城壁を建設してより強固な町としました。

 ダビデは主が約束されたようにイスラエルの王になり、戦いが続く世にあって、強固な城壁の町エルサレムを建て、イスラエルを敵から守り続けていきました。そのような偉大な働きをすることができたのは、10節にある通り、万軍の主がダビデとともにおられたからです。

サムエル第二5章10節

10 ダビデはますます大いなる者となり、万軍の神、主が彼とともにおられた。

(新改訳第三版)

主がダビデとともにおられ、ダビデとともに戦ってくださったからこそ、イスラエルは勝利することができ、ダビデは大いなるものとなることができました。

 今日、私たちが覚えたいことは、羊飼いだったダビデが現代でも尊敬される偉大なイスラエルの王になった事実です。そして、ダビデが偉大な人物になることができたのは、万軍の主である神様がともにおられたという真理です。

 私たちも現在、新型コロナウイルスの影響も加わり、きびしい戦いを強いられています。この世では人間関係や、経済的なこと、災害や病気、そして死というさまざまな戦いがあります。それらに打ち勝つために私たちは日々、努力しているのですが、ダビデの生涯を学ぶとき、主に信頼し従うことが勝利の秘訣であることがわかります。

ヨハネの福音書16章33節

わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがわたしにあって平安を持つためです。あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。

(新改訳第三版)

 私たちの救い主、私たちの主イエス様は、私たちといつもともにいてくださり、このように約束してくださっています。死に対しても勝利を取られた主イエス様が私たちとともにいてくださいます。確かに現代は大きな不安を抱える時代です。しかし、勇敢でありましょう。すでに世に勝たれたイエス様が私たちにも勝利を与えてくださいます。ダビデが主に信頼したように、イエス様に信頼し、イエス様から平安と力をいただいて歩ませていただきましょう。