タイトル | 再スタート |
聖書 | 黙示録2:1〜7 |
説教者 | 木下淳夫師 |

使徒ヨハネは、イエス様の福音を宣べ伝えていました。しかし、当時の世界を支配していたローマ帝国は、ローマ皇帝よりもイエス様を第一とする教えを広めているとして、キリスト教徒を迫害し、ヨハネはローマに捕らえられてパトモス島に流されました。そのヨハネのもとに、イエス様が現れて、ローマの迫害下で苦しんでいた教会の信徒を励ますため、また、これから起こる苦難と、その苦難の先にある希望を覚えて忍耐するために、特別な啓示を与えられました。この書物から、私たちも励ましをいただき、イエス様の約束を握って「再スタート」したいと願っています。
ヨハネの黙示録 2章1〜3節
1 エペソにある教会の御使いに書き送れ。『右手に七つの星を持つ方、七つの金の燭台の間を歩く方が言われる。
2 「わたしは、あなたの行ないとあなたの労苦と忍耐を知っている。また、あなたが、悪い者たちをがまんすることができず、使徒と自称しているが実はそうでない者たちをためして、その偽りを見抜いたことも知っている。
3 あなたはよく忍耐して、わたしの名のために耐え忍び、疲れたことがなかった。
(新改訳第三版)
ヨハネのもとに現れたイエス様は、ご自身のことを、『右手に七つの星を持つ方、七つの金の燭台の間を歩く方』(1節)と表現しています。七つの星に象徴されるのは、教会の御使いたち、それは守護天使です。
イエス様は、権威を象徴する右手に守護天使を持ってくださり、金の燭台である教会の間を歩かれます。いつも、私たちが苦しみに会う時でも、いっしょに歩んでくださり、すべてを知っていてくださいます。そして、ご自身の権威を授けた天使を送り助けてくださいます。
そのイエス様が、エペソにある教会の信徒に語られたことは、
「わたしは、あなたの行ないとあなたの労苦と忍耐を知っている。また、あなたが、悪い者たちをがまんすることができず、使徒と自称しているが実はそうでない者たちをためして、その偽りを見抜いたことも知っている。あなたはよく忍耐して、わたしの名のために耐え忍び、疲れたことがなかった。」(2、3節)
という賞賛の言葉です。
当時はキリスト教徒が迫害されていた時代です。信仰生活をすること自体が困難なときであったのに、教会の中にも間違った教えを広めようとする者までいて、信徒をキリストから引き離そうとしていました。それでも、エペソの信徒は労苦し、忍耐してイエス様を愛して教えをかたく守り、互いに愛し合っていました。
ヨハネの黙示録 2章4〜6節
4 しかし、あなたには非難すべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。
5 それで、あなたは、どこから落ちたかを思い出し、悔い改めて、初めの行ないをしなさい。もしそうでなく、悔い改めることをしないならば、わたしは、あなたのところに行って、あなたの燭台をその置かれた所から取りはずしてしまおう。
6 しかし、あなたにはこのことがある。あなたはニコライ派の人々の行ないを憎んでいる。わたしもそれを憎んでいる。
(新改訳第三版)
ところが、彼らは長い労苦の間に、初めの愛から離れてしまったと、イエス様は非難しておられます。そして、初めの愛に立ち返るように命じられました。初めの愛とは、イエス様が私たちの罪を背負って十字架で死んでくださったことにより、すべての罪を赦し、永遠のいのちと自由を与えてくださった愛です。
自分で、自分は価値のないものだと思っていたかもしれません。しかし、イエス様はそのようなものを、いのちをかける価値がある、愛する存在だと教えてくださいました。イエス様を信じた人は、みんなその愛を知りました。しかし、エペソの信徒は、目に見える戦いが続いたことにより、その初めの愛から離れてしまったと非難されています。
私たちが今置かれている状況も、当時のエペソの教会から学ぶべきことが多くあります。大きな問題がなく、いつもと変わらない日常を送ることができているなら、神様の恵みに感謝し、イエス様を愛し、隣人を愛する生活ができるでしょう。しかし、労苦と忍耐が続いている今は、疲れを覚えることがでてくるかもしれません。私たちも、初めの愛に立ち返りましょう。
ヨハネの黙示録 2章7節
7 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。勝利を得る者に、わたしは神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べさせよう。」
(新改訳第三版)
イエス様の言葉を、しっかりと心に刻み、初めの愛に立ち返って、みんなで神のパラダイスにあるいのちの木の実をいただきましょう。私たち一人一人が神様に愛されている存在であること、また、お互いが愛されている高価で尊い存在であることを再確認し、互いに愛し合い、励ましあって、今の困難な時を忍耐して乗り越えていきましょう。