2020年5月31日「聖霊来たれり」木下淳夫 師

　

ペンテコステは、日本語では五旬節と訳されています。これは、50日目を意味する日です。いつから50日目かというと、「初穂の祭り」から数えて50日目となります。

ユダヤ暦でニサンの月14日に過越の生贄が捧げられ、翌日の安息日が明けた日、つまり日曜日から大麦の束を数え始めます。この数え始める日を「初穂の祭り」と言います。この「初穂の祭り」から50日目がペンテコステになります。この日に「第二の初穂の祭り」と言われる小麦の収穫物が捧げられます。さらに、この五旬節の日は、モーセがシナイ山で律法を授けられた日と言われています。

　過越の生贄が捧げられた後の安息日が明けた日曜日というと、みなさんは何か思い出しませんか？

　そうです。イエス様が墓からよみがえられた日です。「初穂の祭り」とは、イエス様が死者の中からよみがえる初穂であることを予表していた祭りです。そして、イエス様の復活から50日目に起こった聖霊降臨によって、新しい収穫が始まります。聖霊様の働きによって、全世界の人々が神様の御許に集められる教会時代が始まります。

　教会がペンテコステをお祝いしているのは、父なる神様から聖霊なる神様が与えられて、教会が誕生したことを記念しているからです。 　聖霊様が与えられることは、聖書の中に約束されていたことです。そして、イエス様は弟子たちに聖霊様がどのようなお方であるのか教えてくださっていました。今日は、そのイエス様のみことばから、いま私たちに与えられている聖霊様について理解を深め、恵みに感謝したいと願っています。

　イエス様は、弟子たちのことを愛しておられ、いつまでも一緒にいたいと思っておられたことでしょう。しかし、イエス様は十字架でいのちを捨てなければなりませんでした。また、三日目によみがえられるのですが、天に帰ることが定められていました。それは、弟子たちの住まいを備えるためです。そこで、イエス様は、父なる神様にお願いしてくださって、「もうひとりの助け主」である聖霊様が与えられると約束してくださいました。「もうひとりの助け主」というのは、イエス様と同じ性質の助け主という意味ですので、まことの神様であるということです。

　しかし、イエス様のように肉体を持った神様ではなく、御霊なる神様です。聖霊様は人間のように肉体を持っておられませんので、いつも、いつまでも、弟子たちとともにいて助けることがおできになります。

　聖霊様は、すべてのことを教え、イエス様が話してくださったことを思い起こさせてくださいます。私たちは、自分では正しいと思っていても、神様の御心に適わないことをすることがあります。しかし、聖霊様が、すべてのことを教えてくださるとき、私たちは安心して歩むことができます。当時の弟子たちは、イエス様と3年の間一緒に生活し、教えを受けていましたが、イエス様が話されたことを忘れていることも多かったようです。しかし、聖霊様によってすべてを思い起こさせていただき、多くの人々に福音を伝え、また、福音書や書簡によって、現代の私たちにもイエス様のことばを伝えてくれました。

　イエス様が、聖霊様を与えてくださったのは、弟子たちが真理にしっかりと立って心を騒がせることなく、平安を持って歩むためです。この世では、困難があります。偽りがあります。しかし、一人ひとりが聖霊様の助けをいただいて、真理を知って正しい道を歩むこと、また永遠の平安を持って生きることをイエス様は願い、約束の助け主、聖霊様を与えてくださいました。

　これは、現代の私たちにも与えられている恵みです。聖霊様が、私たちといつも、いつまでも、ともにいてくださる助け主であるということを覚え感謝しましょう。私たちは、どのような困難の中にあっても、孤独ではありません。聖霊様がいつもともにいてくださいます。イエス様が「もうひとりの助け主」とおっしゃったように、イエス様と同じように、私たちを愛し、励ましを与え、慰めを与え、力を与えてくださるお方が、私たちに与えられています。偽りの多い世の中でも、真理を教えてくださる助け主が、私たちを平安へと導いてくださいます。

　いつも心を騒がせることなく、与えられた聖霊様に助けを求め、主の御声を聞かせていただきましょう。新型コロナウイルスのために、私たちは、今までとは違った、新しい生活を始めなければならなくなりました。いまこそ、イエス様が与えてくださった平安、イエス様が与えてくださった聖霊様を、しっかりと心に受け止めて、信仰を持って歩んでまいりましょう。