2020年5月10日「川の中に立て！」木下淳夫 師

　

　今、私たちの社会は新型コロナウイルスによって大きく変化してしまいました。換気の悪い密閉空間、多くの人が集まる密集場所、間近で会話したり発生する密接場面の、三つの密を避けるということで、ソーシャルディスタンス（社会的距離）、フィジカルディスタンス（身体的距離）を保つようになりました。

　それだけでなく、誰が感染しているのかわからない、また、自分も感染しているかもしれないという不安から、お互いの心の距離も遠くなり、お互いの親密な関係も薄れてきたように感じます。

　このような現状を打開するために、主がヨシュアに語られたみことば、また、ヨシュアが民に語ったみことばから、これからの戦いに立ち向かっていく備えをしてまいりましょう。

　モーセの後継者として、モーセの従者であったヨシュアがふさわしいと、多くの人は思ったことでしょう。しかし、ある人たちは、もっと他にふさわしい人物がいるに違いないと考えたかもしれません。

　これからイスラエルの民は、心を一つにしてカナンの地に入り、そこにいる強い民族と戦わなければならないのに、分裂が生じてしまうと、戦いに勝利することができません。

　そこで、主はヨシュアこそ神様がお選びになった後継者であることを、全イスラエルに示すため、また、力ある神様である主ご自身がイスラエルに先立って進んでくださり、勝利を与えてくださることを示すために、ヨシュアに語るべきみことばを授けておられます。

　当時のヨルダン川がどれほどの川だったのかわかりませんが、イスラエルの民が容易に渡ることができるような川ではなかったことは確かです。

　その川を渡るために、主がヨシュアに語られたことは、『ヨルダン川の水ぎわに来たとき、あなたがたはヨルダン川の中に立たなければならない。』と祭司たちに命じることでした。

　歩いて渡ることも難しい川なのに、契約の箱を担いだまま川に入り、そこに立たなければならないというのですから、ヨシュアも驚いたことでしょう。しかし、ヨシュアは、主が命じられた通り、イスラエルの民全体に主のみことばを伝えました。

　ヨシュアは、自分がイスラエルの先頭に立って、ヨルダン川を渡らせるのではないことを明らかにします。「見よ。全地の主の契約の箱が、あなたがたの先頭に立って、ヨルダン川を渡ろうとしている。」と、契約の箱に民の目を向けさせました。そして、主ご自身が先頭に立ってヨルダン川を渡り、カナン人などの異邦の民を追い払ってくださることを宣言しました。

　そして、「全地の主である主の箱をかつぐ祭司たちの足の裏が、ヨルダン川の水の中にとどまると、ヨルダン川の水は、上から流れ下って来る水がせきとめられ、せきをなして立つようになる。」と、誰もが想像もしていなかったような出来事が起こることを宣言しました。

　これは、この出来事によって、主がヨシュアをお選びになり、また、主がいつもともにいてくださり、先頭に立って進んでくださることを、民が知るためです。そして、主がヨシュアを通して、約束の地を与えてくださることを、全イスラエルが知るようになるためです。

　私たちも新型コロナウイルスによって、感染の恐れが付きまとう社会となり、今までのような生活をすることができなくなってきました。そのような状況で、私たちは互いに疑い、批判し、分裂するのではなく、主がお選びになったリーダーに従って、心を一つにすることが大切です。全世界に広がった困難に立ち向かうために、すべての人に先立ってくれるリーダーが必要です。

　私たち全世界のクリスチャンにとって、最も偉大なリーダーは、イエス・キリストです。私たちはキリスト・イエスにあって一つです。イエス様こそ、全世界の民が心を一つにして従うべきリーダーです。そして、イエス様のみことばに従い、それぞれ遣わされたところで、与えられた奉仕をさせていただきましょう。

　ヨシュアは、イスラエルに「ここに近づき、あなたがたの神、主のことばを聞きなさい。」と命じました。そして、イエス様は、いま私たちに主のみことばを聞きなさいと命じられます。先頭に立って進んでくださる主を見るように、命じておられます。そして、信仰を持って激しく水が流れる川に入り、川の中に立てと命じられます。

　厳しい状況を見ると、無理だと思うかもしれません。しかし、主はあなたとともにいてくださいます。あなたが主を信じて一歩踏み出すなら、主ご自身があなたを恐ろしい流れから守ってくださり、立たせてくださいます。三密を避ける生活ではありますが、イエス様から愛をいただき、イエス様と、また、人々との親密な関係を新たに築いて、この困難な状況をご一緒に乗り越えてまいりましょう。