2023年2月26日「使徒たちの祈り」木下淳夫 師

タイトル使徒たちの祈り
聖書1テサロニケ3:11〜13
説教者木下淳夫師

 今日は「使徒たちの祈り」というテーマです。

 テサロニケの信徒たちは、パウロが伝えた福音を受け入れてイエス様に従うことを選び、永遠の命をいただき神様の子どもとして新しい人生をスタートしました。しかし、信仰のゆえに周囲の人たちから迫害を受けることになり、パウロたちもテサロニケを離れなければならなくなりました。

 そのような信徒たちのためにパウロが祈っているみことばをご一緒に学び、使徒たちに権威を与えられたイエス様が、今、私たちのためにも同じ祈りをしてくださっていることを覚えたいと願っています。

テサロニケ人への手紙第一3章11節

11 どうか、私たちの父なる神であり、また私たちの主イエスである方ご自身が、私たちの道を開いて、あなたがたのところに行かせてくださいますように。

(新改訳第三版)

 11節に記されているパウロの祈りは、父なる神様、そして、主イエス様に対して、今、パウロたちが抱えている問題を解決してくださることを求める祈りです。パウロたちは、テサロニケに行きたいと願っていたのですが、サタンによる妨害があったために、行くことができませんでした。ですから、パウロは、テサロニケの人たちを励ますために、自分がテサロニケに行くことができるように、神様がその道を開いてくださることを祈り求めました。

 このような現在抱えている問題の解決を祈ることは、私たちにとっても一番多い祈りなのではないでしょうか。パウロも同じように、現在目に見えるところの問題についての解決をまず祈り求めています。ですから、私たちが、今抱えている問題について、お祈りすることは使徒パウロの祈りと変わることがありません。ですから、私たちも、普段から直面する様々な問題や困難に対して、素直に父なる神様、主イエス様に助けを求めることが大切です。なぜなら、信仰に関わるような大きな問題に直面するとき、その問題の背後にはサタンの策略があるからです。サタンは信徒が主にあって成長することを妨げようとします。そして、主との交わりを断とうとします。ですから、困難な時こそ主に向かって自分の心にある悩みを打ち明け、最善の解決が与えられるまで、忍耐して待ち望みましょう。

テサロニケ人への手紙第一3章12節

12 また、私たちがあなたがたを愛しているように、あなたがたの互いの間の愛を、またすべての人に対する愛を増させ、満ちあふれさせてくださいますように。

(新改訳第三版)

 次に、パウロが祈っていることは、直接の問題ではなく、彼らの信仰に関することです。パウロたちが、離れていても彼らのことを神様の子どもとして愛しているように、テサロニケの信徒一人ひとりが困難の中にあっても、互いに愛し合うことができるようにと、パウロは祈っています。兄弟姉妹が互いに愛し合うことは、イエス様が新しい戒めとして弟子たちに命じられたことですから、重要な目に見える行いです。ですから、パウロは彼らの互いの愛が増し加えられるように祈りました。さらに、盃に注がれたぶどう酒があふれ出るように、彼らに注がれ増し加えられた神様の御愛が、彼らを苦しめている人々にも届けられるようにと祈っています。

 争いを解決するために、力で対抗するのなら一時的には平和が来るかもしれません。しかし、お互いの心に平和がないのなら、再び争いが起こるでしょう。だからこそ、パウロは彼らの愛がすべての人に対して満ち溢れることを祈り求めました。

テサロニケ人への手紙第一3章13節

13 また、あなたがたの心を強め、私たちの主イエスがご自分のすべての聖徒とともに再び来られるとき、私たちの父なる神の御前で、聖く、責められるところのない者としてくださいますように。

(新改訳第三版)

 最後に、パウロは彼らを完全に救うことができる主イエス様の再臨に目を留めて祈っています。困難の中にいる人は、今、目の前のことだけで精一杯ですが、パウロはその困難の先にある、主イエス様の再臨を覚え、その時に信徒一人ひとりが、イエス様に聖く、責められるところのない者として認めていただくことの大切さを教えています。そのために、一人ひとりの心が強められれて、忍耐することができるように、パウロは祈っています。

 はじめに申し上げたように、この使徒パウロの祈りは、パウロからテサロニケの信徒のための祈りだけではありません。パウロに権威を授けられたイエス様の、すべての信徒に対する祈りでもあります。

 私たちは困難の中にあって神様に助けを祈り求めます。しかし、なかなか願った通りにならない時、「どうして神様は聞いてくださらないのか」と、つぶやくことがあるかもしれません。そのようなとき、イエス様がペテロの信仰がなくならないように祈ってくださったように、私たちのことを覚えて、祈っていてくださることを思い出しましょう。私たちに愛を増し加え、すべての人に神様の御愛を届けようとしておられることを覚えましょう。そして、いつも一緒にいてくださるイエス様に心を強くしていただいて、主とお会いする時、聖く、責められるところのないものとしていただきたいと願います。