
タイトル | うちに働く神のことば |
聖書 | 1テサロニケ2:13〜16 |
説教者 | 木下淳夫師 |
今日は、「うちに働く神のことば」というテーマです。
私たちは生活の中で、いろいろな言葉で励まされたり、慰められたりします。私もいろいろな場面で、言葉を通して力をいただいてきました。その中でも、聖書のみことばは、いっときの慰めや励ましではなく、人生そのものを変えてくれたことを思い出します。このように、聖書のみことばは、私にとって特別なことばだということを経験して知っているので、今、みなさんにも一生懸命このみことばを伝えさせていただいています。そして、みなさんも自分の心のうちに神様のみことばが働くことで与えられる平安と喜びと希望を味わってほしいと願っています。
テサロニケ人への手紙第一2章9〜10節
13 こういうわけで、私たちとしてもまた、絶えず神に感謝しています。あなたがたは、私たちから神の使信のことばを受けたとき、それを人間のことばとしてではなく、事実どおりに神のことばとして受け入れてくれたからです。この神のことばは、信じているあなたがたのうちに働いているのです。
(新改訳第三版)
パウロは、異邦人であるテサロニケの人たちが、イエス様がキリストであることを信じて従うようになったことを喜び、神様に感謝しました。ユダヤ人なら、ユダヤ教の教えが基礎にありますから、キリストの存在を知っていましたし、待ち望んでもいました。しかし、異邦人はキリストについて何も知識がありません。そのような人が、突然、エルサレムで十字架につけられたナザレのイエスが、天地万物を創造したまことの神の御子キリストであり、墓に葬られて三日目によみがえられ、その方を救い主と信じるなら救われると言われても、正直なところ信じがたい話だったと思います。また、福音と言って語られるパウロたちの話も、信じていいものかも判断できません。それが真実であるのかどうか、人々は確かめる術がありません。そのような状況でも、テサロニケの人たちは、パウロが語ることばを、神のことばとして信じて受け入れました。
もちろん、パウロは、自分が与えられた救いの約束により、真実の神様との交わりが与えられ、罪の束縛から解放され、永遠のいのちの希望を持つことができるようになったことを経験していましたから、福音は神様が与えてくださった救いの約束であることを確信していました。だからこそ、パウロは命をかけて福音を伝える旅に出ました。パウロ自身が、はじめはイエス様を迫害していたので、イエス様が神の御子キリストであると伝えることが、どれほど困難なことであることは十分承知していましたが、それが真実であることを知ったからこそ、パウロはイエス様が命じられたように、異邦人の使徒として世界中に福音を宣べ伝えました。
そして、神様のみことばは、イエス様を救い主と信じて従う人のうちに働いていると、パウロは言っています。ヨハネの福音書の冒頭で、使徒ヨハネがイエス様のことを「ことば」と表現したように、イエス様は、ことばなる神様です。ですから、イエス様により頼むようになった人には、自分が信じた神様のみことば、つまり、イエス様ご自身が心のうちに働きかけてくださり、慰めや励ましを与えてくださいます。また、歩むべき道を教えてくださいます。このように、神様のみことばを信じて受け入れるということは、イエス様ご自身を受け入れることであり、イエス様ご自身がともにいてくださることは、信じる人にとって大きな恵みとなり力となります。
テサロニケ人への手紙第一2章14〜16節
14 兄弟たち。あなたがたはユダヤの、キリスト・イエスにある神の諸教会にならう者となったのです。彼らがユダヤ人に苦しめられたのと同じように、あなたがたも自分の国の人に苦しめられたのです。
15 ユダヤ人は、主であられるイエスをも、預言者たちをも殺し、また私たちをも追い出し、神に喜ばれず、すべての人の敵となっています。
16 彼らは、私たちが異邦人の救いのために語るのを妨げ、このようにして、いつも自分の罪を満たしています。しかし、御怒りは彼らの上に臨んで窮みに達しました。
(新改訳第三版)
イエス様を信じること、神様のみことばを受け入れることは、大きな恵みですが、苦しみに会うこともあります。この世の宗教では信じることで良いことがあると教えます。あえて苦しみに会うことは教えません。しかし、パウロは苦しみに会うことも事実として伝えています。テサロニケ教会は、自分たちの同胞による妨害を受けました。これは、エルサレム教会が、同胞のユダヤ人に迫害されたことと同じであるとパウロは言っています。また、ユダヤ人は自分たちのために遣わされた預言者たちだけでなく、キリストであるイエス様までも殺したことで、神様に喜ばれず、すべての人の敵になり、神様の御怒りが窮みに達しました。このことから、今、迫害する人たちがいても、すべてをさばかれる神様は、神の民を迫害する者に対して御怒りをくだされることを伝え、苦しみの中にある兄弟姉妹に、信仰を持って忍耐するように勧めています。
テサロニケ人への手紙第一2章13節
この神のことばは、信じているあなたがたのうちに働いているのです。
(新改訳第三版)
私たちが信じた福音は、誰かが考えた物語や仮説ではありません。イエス様は実在した人物であり、多くの人が見ているエルサレムで十字架につけられ、死んで墓に葬られました。それは、ローマ総督ポンテオ・ピラトの命令で墓に封印がされ、番兵が置かれたことからも、イエス様が死んで葬られたことが事実であることがわかります。また、三日目によみがえられたイエス様が、多くの弟子の前に姿を現されたことから復活が真実である言えます。このように、伝えられた福音は事実に基づいた神様の約束です。だからこそ、イエス様が約束されたことは真実であると受け入れることができます。神様のことば、聖書のみことばは、信じる私たちのうちに働いてくださり、私たちを導いていくださいます。私たちに必要なことは、みことばへの信頼です。与えられた聖書のみことばは、必ず成就すると信じて、信仰と希望を持ち続けてまいりましょう。