2022年12月11日「救うための降臨」木下淳夫師

投稿日 2022年12月13日
更新日 2022年12月25日
著者貞光キリスト教会
カテゴリー礼拝メッセージ

タイトル	救うための降臨
聖書	ルカ19:1～10
説教者	木下淳夫師

　今日のテーマは「救うための降臨」です。

　イエス様は、ご自身がこの世に来られた目的について、人々に語られました。それが、福音書の中に記されています。今日は、イエス様がこの世に来られた目的である「人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」というみことばに注目したいと願っています。そして、イエス様がこの世に来てくださったクリスマスの恵みを、より深く味わいたいと願っています。

ルカの福音書19章1〜10節

1 それからイエスは、エリコに入って、町をお通りになった。

2 ここには、ザアカイという人がいたが、彼は取税人のかしらで、金持ちであった。

3 彼は、イエスがどんな方か見ようとしたが、背が低かったので、群集のために見ることができなかった。

4 それで、イエスを見るために、前方に走り出て、いちじく桑の木に登った。ちょうどイエスがそこを通り過ぎようとしておられたからである。

5 イエスは、ちょうどそこに来られて、上を見上げて彼に言われた。「ザアカイ。急いで降りてきなさい。きょうは、あなたの家に泊まることにしてあるから。」

6 ザアカイは、急いで降りて来て、そして大喜びでイエスを迎えた。

7 これを見て、みなは、「あの方は罪人のところに行って客となられた」と言ってつぶやいた。

8 ところがザアカイは立って、主に言った。「主よ。ご覧ください。私の財産の半分を貧しい人たちに施します。また、だれからでも、私がだまし取った物は、四倍にして返します。」

9 イエスは、彼に言われた。「きょう、救いがこの家に来ました。この人もアブラハムの子なのですから。

10 人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」

（新改訳第三版）

　今日、注目したい「人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」というみことばが語られた場所はエリコの町です。時期としては、イエス様が、十字架にかけられるためにエルサレムに入城する前です。イエス様が公生涯に入られた頃、イエス様は全ての人々に福音を語り、多くの人がイエス様をメシアだと信じて従いました。ところが、ユダヤ人の指導者たちの妨害があり、イエス様は全ての人に向けて福音を語ることはなさらなくなっていきました。そのように、福音が届きづらい世の中であっても、イエス様は救いを求める人を知ってくださり、探し出して救ってくださいます。それが、このエリコでのザアカイとの出会いです。

　ザアカイは、ローマのために民衆から税金を集める取税人という仕事をしていました。ただ、彼は決められた金額だけ徴収するのではなく、自分の利益を増やして取り立てていました。そのような取り立てをして、彼はお金持ちになっていました。しかし、同胞のユダヤ人たちからは、罪人として嫌われ、除け者にされていました。

　ある日、イエス様がエリコに来られたとき、多くの人が一目でもイエス様を見ようと集まって来ました。ザアカイも、イエス様がどんなお方なのか興味津々で、イエス様のそばに行こうとしましたが、群衆のために近づくことはできません。また、遠くからでも見たいと思ったのですが、ザアカイは背が低かったために、前にいた人たちに遮られて、イエス様を見ることができませんでした。それでも、ザアカイはあきらめないで、イエス様を見るために、前方に走って行って、いちじく桑の木に登り、その下を通るイエス様を見ようとしました。もちろん、人を上から見下ろすというのは、とても失礼な行為ですが、ザアカイはそれほど熱心にイエス様を見たいと願っていました。

　イエス様は、ザアカイが登っているいちじく桑の木の近くまで来られると、上を見上げてザアカイに声をかけられました。「ザアカイ」と、イエス様が名前を呼ばれた時、ザアカイはどれほど驚いたことでしょうか。イエス様に対してとても失礼な態度をとっていたことが見つかったこと、また、話をしたこともないイエス様が自分の名前を知っておられたことに、ザアカイは木の上で困惑したと思います。そして、イエス様に叱られることを覚悟したことでしょう。しかし、イエス様は、「ザアカイ。急いで降りてきなさい。きょうは、あなたの家に泊まることにしてあるから。」とおっしゃいました。叱られるどころか、イエス様はザアカイに親しく接してくださいました。ザアカイは、イエス様が来てくださることに大喜びでしたが、人々はイエス様が罪人のザアカイの客になったことに不満を募らせました。

　しかし、イエス様がザアカイの家に行くと、ザアカイは自分が今まで行なっていた罪を悔い改めました。そして、イエス様はザアカイが罪を悔い改め、神様に立ち返ったことを喜び、「きょう、救いがこの家に来ました。この人もアブラハムの子なのですから。人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」とおっしゃいました。

　イエス様がこの世に来られたのは、ザアカイのように神様のみもとを離れてしまい、人々からも除け者にされ、孤独の中に閉ざされた人、希望を失っている人を捜して救うためです。ザアカイを救ってくださったイエス様は、現代においてザアカイのように、孤独を抱え、悩み悲しんでいる人をご存知で、その人の心の扉を叩いてくださいます。そして、「あなたの心に泊まることにしてあるから」とおっしゃってくださいます。

　みなさんは、誰からも認めてもらえない悲しみや、さびしさを覚えることはありませんか？どうすることもできない不安に押しつぶされそうになることはありませんか？イエス様は、そのような心の暗闇に、いのちの光を灯し、救うためにこの世に来てくださいました。私たちが、神様の子どもとして、平安と希望をもって生きることができるように、ご自身が十字架で命を捨て、墓に葬られ、三日目によみがえってくださいました。そして、イエス様を救い主と信じて従う人も、イエス様と同じように、罪に汚れた古い性質に死んで、新しい命を持って生きるようにしてくださいます。