2022年12月18日「あかしするための降臨」木下淳夫 師

タイトルあかしするための降臨
聖書ヨハネ18:33~37
説教者木下淳夫師

 今日は、「あかしをするための降臨」というテーマです。

 イエス様は、ご自身が降臨した目的について、真理をあかしするためであると語られました。今日は、イエス様が、降臨された目的である「真理のあかし」に注目し、クリスマスに示された真理を再確認して、変わることのない希望を持ちたいと願っています。

ヨハネの福音書18章33〜37節

33 そこで、ピラトはもう一度官邸に入って、イエスを呼んで言った。「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」

34 イエスは答えられた。「あなたは、自分でそのことを言っているのですか。それともほかの人が、あなたにわたしのことを話したのですか。」

35 ピラトは答えた。「私はユダヤ人ではないでしょう。あなたの同国人と祭司長たちが、あなたを私に引き渡したのです。あなたは何をしたのですか。」

36 イエスは答えられた。「わたしの国はこの世のものではありません。もしこの世のものであったなら、わたしのしもべたちが、わたしをユダヤ人に渡さないように、戦ったことでしょう。しかし、事実、わたしの国はこの世のものではありません。」

37 そこでピラトはイエスに言った。「それでは、あなたは王なのですか。」イエスは答えられた。「わたしが王であることは、あなたが言うとおりです。わたしは、真理のあかしをするために生まれ、このことのために世に来たのです。真理に属する者はみな、わたしの声に聞き従います。」

(新改訳第三版)

 イスカリオテのユダは、祭司長、パリサイ人たちから送られた役人たち、そして、一隊の兵士を引き連れて、ゲツセマネの園にやってきました。そして、イエス様は抵抗することなく、兵士たちによって捕らえられました。真夜中であるにもかかわらず、不法に開かれたユダヤ人の議会にイエス様は引き出され、大祭司カヤパのもとで裁判を受けました。そこで、大祭司カヤパは、イエス様が神様を冒涜したということで、強引に死刑に定めました。しかし、当時のユダヤ人は自分たちで死刑を執行できなかったため、世が明けてすぐに、死刑を執行する権限を持つローマ総督ポンテオ・ピラトのもとにイエス様を連れて行き、今度はローマへの反逆罪として、死刑にするように求めました。

 ピラトの質問は、「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」ということでした。当時、ユダヤはローマの支配下です。まだ、神殿での礼拝など、ユダヤ人としての生活は守られていましたが、ユダヤ人が自分たちの王を自分たちで選ぶことはできませんでした。ですから、イエス様が、自分がユダヤ人の王であると主張すれば、祭司長たちが言うようにローマに逆らう者として処罰することになります。イエス様は、ピラトの質問に質問で返すというラビたちが行う方法で、ピラトがイエス様をどのように見ているのかを、ピラト自身に考えさせようとなさいました。しかし、ピラトは自分はユダヤ人ではないので、イエス様がユダヤ人の王であろうがなかろうが関係ありません。ただ、ユダヤ人たちがイエス様をユダヤ人の王であるということで処刑を求めていることに、疑問を抱き「あなたは何をしたのですか。」と、イエス様に問いかけました。

 イエス様は、何をしたのかと言う質問には答えず、ただ、イエス様が治める国はこの世のものではないということを伝えておられます。イエス様の言葉に対して、ピラトは、「わたしの国」ということが気になったからでしょう、「それでは、あなたは王なのですか」と質問しました。その質問に対して、イエス様はご自身が王であることを認められました。ただ、イエス様はこの世の王としてこの世を支配するために、お生まれになったのではなく、真理をあかしするために生まれ、みことばを通してあたえられた真理についてあかしするために、人となってこの世に来られたのだとおっしゃいました。そして、「真理に属する者はみな、わたしの声に聞き従います。」と、イエス様が王として迎え入れる人たちは、この世の国の枠を超え、真理に属する人、神様を崇める全ての人たちであり、そのような人たちは、王の王、主の主、神様のひとり子であるイエス様の声に聞き従うのだとおっしゃいました。

ヨハネの福音書18章37節

わたしは、真理のあかしをするために生まれ、このことのために世に来たのです。
真理に属する者はみな、わたしの声に聞き従います。

 イエス様が、この世に降臨された目的は、真理をあかしするためです。偽りに惑わされて真理である神様の御前を離れてしまい、自分でも何をしているのかわからないうちに滅びの道を歩んでいる全ての人に、創り主である父なる神様を示し、自分たちの罪を認めさせるため、イエス様はこの世に生まれ真理をあかしされました。そして、救い主キリストであるご自身を通して、だれでもイエス様を信じる者は全ての罪が赦され永遠のいのちを持つこと、真理に属する者になることを約束してくださいました。

 イエス様が語ってくださったことは真理です。真理は、国や時代に関係なく真実です。だからこそ、信頼することができ、従うことができます。今、私たちはイエス様がなさったあかしを弟子たちが書き記した聖書を通して知ることができます。そして、そのイエス様があかししてくださった真理によって、私たちも自分の罪に気づき、救いの道を見いだすことができました。イエス様は、この世の国に関係なく、全ての国の人々に真理を知らせてくださり、永遠のいのちを与えてくださいます。そして、イエス様は、真理に属する者となった私たちを王として愛をもって守り、光をもって導いてくださいます。