2021年6月27日「聖書を読むときの注意点」木下淳夫 師

タイトル聖書を読むときの注意点
聖書ペテロの手紙第二 1:20~21
説教者木下淳夫師

 今日は、「聖書を読むときの注意点」をテーマに学ばせていただきます。

 聖書に限らず、どのような書物でも、書かれた時代背景や、文化が大きく影響しますので、作者が生きていた時代や、場所なども考慮しなければなりません。聖書の注解書にしても、時代とともに、新しい発見があり、少しずつ解釈の仕方が変わってきています。また、聖書には特有の注意点がありますので、ペテロの手紙から学ばせていただき、使徒たちがイエス様から受けた教えを、私たちも受け取りたいと願っています。

ペテロの手紙第二 1章20〜21節

20 それには何よりも次のことを知っていなければいけません。すなわち、聖書の預言はみな、人の私的解釈を施してはならない、ということです。

21 なぜなら、預言は決して人間の意志によってもたらされたのではなく、聖霊に動かされた人たちが、神からのことばを語ったのだからです。

(新改訳第三版)

 聖書特有の注意点は、「人の私的解釈を施してはならない」ということです。新約聖書としてまとめられている福音書や使徒たちの書簡は、使徒たちが書いた文書を世界中の信徒たちが読むことができるように書き写され、また、翻訳されてきました。もちろん、書き写した人たちに悪意はありませんが、単純に書き間違えたり、また、読み間違えて異なった単語で書いてしまうなどの間違いは当然発生します。また、ときにはオリジナルの文章では、わかりづらかったからかもしれませんが、言葉を補って写本を作ることもありました。このようにして、次第にオリジナルから変化した写本が多く造られるようになっていきました。さらに、そこから自分たちの国の言葉に翻訳されていきます。このように、善意にしても悪意にしても、聖書は少しずつ変化しながら伝えられていきました。言い換えるなら、書き写す人たちの解釈が入ってきているということです。

 ですから、現代において日本語訳の聖書を作るにあたって、もっともオリジナルに近い旧約聖書、新約聖書から翻訳する必要があるわけです。これは、現代の私たちが聖書を読むときの注意点であり、一般の信徒にはとてもできないことですから、専門家が研究し、日本語でも聖書のみことばを理解できるように、個人的な解釈にならないように委員会のメンバーで検討して翻訳作業をしています。

 しかし、ペテロは翻訳される前、手紙が書き写される前から、預言のことばについて、「人の私的解釈を施してはならない」と言っています。なぜなら、すでに旧約聖書や、使徒たちの教えについても、自分勝手な解釈をして、間違った教えを広めている人たちがいたからだと考えられます。

 イエス様は、当時の指導者たちの律法解釈に間違いがあることを指摘されました。ですから、ペテロは神様のみことば、預言のことばは、人間の知識や経験、常識によって解釈してはならず、聖霊様によって解き明かしていただく必要があることを知っていました。また、自分も聖霊様の助けが与えられ、預言のみことばを理解することができました。ですから、聖書の預言、神様のみことばは、人間の常識によって解釈してはならないと教えています。

 そして、とても重要なポイントとして、預言とは「人間の意志によってもたらされたのではなく、聖霊に動かされた人たちが、神のことばを語った」ことばだということです。つまり、それぞれの書物に著者はいますが、聖霊様が著者に働きかけ、彼らの知識、経験、感情などを用いて、聖霊様が書かせておられたということです。

 みなさんの中には、神様ご自身が、人間にみことばを語ってくだされば良いのではないかと考える方もいるかと思います。しかし、神様ご自身が人間に語られたなら、人間は恐怖でみことばを聞くことなどできません。そこで、神様はご自身の御心を伝えるために、人間の感情や経験を通して伝えることが、最善であると考えられました。確かに、私たちは聖書を読む時、著者たちの喜び、悲しみ、苦しみに共感し、同じ気持ちで主のみことばを聞くことができます。

 私たちが、聖書を読み、解釈する時のポイントをまとめます。

1 文脈を理解するということです。

 文脈には、その文書が書かれた時代背景や、著者自身も考慮する必要がありますが、前後の文脈をしっかり理解することが大切です。

2 わからない時は、聖書の他の箇所を参考にすることです。

 聖書全体が、聖霊様によって書かれていますので、聖書の他の箇所を参考にしながら難しい箇所を解釈することです。聖書辞典の利用も役立ちます。

3 同じ聖霊を受けている兄弟姉妹と分かち合うということです。

 お祈りをして、聖霊様から知恵をいただき、解き明かしをいただくことができれば最善ですが、いつも解き明かしが与えられるとは限りません。しかし、神様がこの地上に立ててくださった教会は、キリストの体として、信徒が成長できるように、与えられています。ですから、みことばを解釈する時の助けも、教会の交わりの中で、また、分かち合いの中で与えられます。聖書注解も信徒が与えられた知恵によって書かれていますので参考にしてください。

 私たちに与えられたみことばを、自分の都合のいいように解釈することがないように、聖霊様と兄弟姉妹の助けをいただきながら、理解して正しい信仰を守っていきたいと願います。