2021年5月23日「賜物として与えられた聖霊」木下淳夫 師

タイトル賜物として与えられた聖霊
聖書使徒の働き2:36~42
説教者木下淳夫師

 今日は、ペンテコステ礼拝です。使徒の働き2章には、五旬節(ペンテコステ)の様子が記されています。弟子たちが集まっていたところに、突然激しい風が吹いてくるような響きが起こり、炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまりました。そして、聖霊を受けた弟子たちは、あらゆる国の言葉で神様のみわざを語りました。このとき、朝の9時でしたので、おそらく弟子たちがいた家は、「神の家」つまり神殿だったと考えられます。ですから、祭のために、あらゆる国から神殿に来ていた人々は、弟子たちが自分たちの国の言葉で、神様の大きなみわざを語るのを聞き驚きました。そして、ペテロが立ち上がって、集まった人たちに、目の前で起こっていることが、ヨエルの預言の成就であると語りました。そして、イエス様は十字架につけられて墓に葬られたけれども、三日目によみがえられた約束のメシアであることを語りました。このペテロの力強いメッセージを聞いた人々は、イエス様を信じてバプテスマを受け、教会が誕生しました。

 今日は、ペテロが語ったメッセージから、「賜物として与えられた聖霊」というテーマで、イエス様を信じた人に与えられる恵みを再確認して、私たちも信仰の基礎をしっかりと築きたいと願っています。

使徒の働き2章36〜38節

36 ですから、イスラエルのすべての人々は、このことをはっきりと知らなければなりません。すなわち、神が、今や主ともキリストともされたこのイエスを、あなたがたは十字架につけたのです。」

37 人々はこれを聞いて心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに、「兄弟たち。私たちはどうしたらよいでしょうか」と言った。

38 そこでペテロは彼らに答えた。「悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦していただくために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けるでしょう。

(新改訳第三版)

 ペテロのメッセージの核心は、イスラエルの人々の罪を明らかにすることでした。神様がお遣わしくださった神の御子、主であるイエス様、また、救い主キリストであるイエス様を、イスラエルの人々は十字架につけたと語っています。イスラエルの人々は、主を愛し、ずっとキリストを待ち望んでいました。しかし、彼らは、そのイエス様を拒否し、十字架につけてしまうという大きな過ちを犯してしまいました。このように、彼らが神様の恵みを拒否し、自己中心な選択をしたという事実を、ペテロは指摘しました。

 イスラエルの人々は、ペテロの言葉を聞いて、心を刺されました。そして、「兄弟たち。私たちはどうしたらよいでしょうか」と、自分たちが犯した罪を赦していただくためにどうすればよいのかと、使徒たちに尋ねました。

 ペテロは、「悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦していただくために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けるでしょう。」と答えました。

 ペテロのメッセージを聞いていた人たちは、自分たちが主であり、キリストであるイエス様を十字架につけたという罪を認め、赦しを求めました。ですから、ペテロは彼らが赦しを受けるために「悔い改めなさい」と命じました。そして、悔い改めたのち、自分たちが拒否したイエス様を救い主キリストと信じて、バプテスマを受けるように命じました。そうすれば、賜物として聖霊を受けると神様の約束を伝えました。これは、神の国に入ることができる約束であり、また、神様がいつもともにいてくださる約束です。

使徒の働き2章39〜42節

39 なぜなら、この約束は、あなたがたと、その子どもたち、ならびにすべての遠くにいる人々、すなわち、私たちの神である主がお召しになる人々に与えられているからです。」

40 ペテロは、このほかにも多くのことばをもって、あかしをし、「この曲がった時代から救われなさい」と言って彼らに勧めた。

41 そこで、彼のことばを受け入れた者は、バプテスマを受けた、その日、三千人ほどが弟子に加えられた。

42 そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。

(新改訳第三版)

 このペテロのメッセージを聞いた人たちは、当時、イスラエルを離れ、ローマ世界のあちこちに離散して住んでいた人たちもたくさんいました。ですから、イスラエルを離れた自分たちは、ローマの支配下で、どうすれば神の国に入ることができるのだろうかと、心配していたかもしれません。しかし、ペテロは、すべての罪が赦され、神の国に入ることができる約束は、悔い改めてイエス様をキリストと信じた、すべての人に与えられていると語りました。

 そして、「この曲がった時代から救われなさい」と言って、彼らがためらわずに悔い改め、イエス様をキリストと信じてバプテスマを受けることを、勧めました。その勧めに応答して、この日だけで3000人の人がバプテスマを受けました。

 このようにして、教会は誕生しました。ペテロのメッセージを通して、イエス様をキリストと信じてバプテスマを受けると、聖霊を受けることが約束されています。ここで、整理しておきたいのですが、日本語訳では、語順の関係でわかりづらくなっていますが、罪の赦しはバプテスマが条件ではありません。悔い改めです。罪を認めて悔い改めることによって、神様は赦しを与えてくださいます。そして、イエス・キリストの御名によるバプテスマ、あるいは、父、子、聖霊の御名によるバプテスマは、キリストと、また、三位一体の神様と一つにしていただき、神の国に入ることの約束、また、地上でも神様がいつもともにいてくださることの約束です。

 イエス様を救い主と信じてバプテスマを受けた人は、どこにいても、どんなときも聖霊様が内に住んでいてくださり、変わることのない平安を与えてくださいます。ですから、同じ御霊をいただいた信徒同士、みことばをしっかりと握って、互いに交わりを持ち、助け合って、さらに多くの人が曲がった時代から救われるように祈ってまいりましょう。