タイトル | 苦しみのあとにある約束 |
聖書 | 1ペテロ5:6~11 |
説教者 | 木下淳夫師 |
今日は、「苦しみのあとにある約束」というテーマで、みことばを学ばせていただきます。徳島県でも、新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、信徒同志の交わりを持つことが難しいという試練の中にありますが、その試練を忍耐した先にある約束を覚えて、今の試練のときもイエス様に目を向けていきたいと願っています。
ペテロの手紙第一5章6〜7節
6 ですから、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神が、ちょうど良い時に、あなたがたを高くしてくださるためです。
7 あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。
(新改訳第三版)
神様の御手の下にへりくだることが命じられています。ここでは、動詞が受動態で書かれていますので、自分から謙遜にへりくだるだけでなく、この世から迫害を受けて、さげすまれている状況、苦しみを受けていることも含まれていると考えられます。社会の中で苦しめられている信徒たちは、今の状況を自分の力で変えようと、力づくで現状を打破しようと計画を立てていた人もいたかもしれません。しかし、ペテロは彼らにへりくだって忍耐することを命じています。ただ、この世の力に屈するのではなく、神様の力強い御手の下にへりくだるように命じています。忘れてはならないのですが、悪いと思える状況を受け入れるのは、この世が強いからではありません。神様が最善の時に高く引き上げてくださるためです。ただ、いくら高く引き上げられると言っても、困難な状況にいることはつらいことです。しかし、神様はそのような信徒の苦しい思いも知ってくださり、心配してくださいます。ですから、すべての思い煩いを神様にゆだねるようにと、ペテロは命じています。
この6節、7節でペテロは、この世で苦しみにあっても、この世に屈するのではなく、この世界を治めておられる神様の御前にへりくだり、思い煩いを知っていただき、忍耐するようにと命じています。それは、神様が最善の時に高く引き上げてくださり、また、いつも心配してくださっているからです。
ペテロの手紙第一5章8〜9節
8 身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。
9 堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。ご承知のように、世にあるあなたがたの兄弟である人々は同じ苦しみを通って来たのです。
(新改訳第三版)
悪魔は人間の目には見えません。しかし、悪魔は実在し、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを探し求めながら、歩き回っています。信仰の目が閉ざされ、この世と調子を合わせるようになってきた信徒を探し、信仰を奪おうと狙っています。ですから、身を慎み、目を覚まし、イエス様がなしてくださった模範を思い出して、イエス様に従い続けることが大切です。
そして、この世にあって苦しみを受けるのは、キリスト者なら当然のことで、兄弟姉妹も経験してきたことだと教えられています。さらに言うなら、信仰の創始者であるイエス様が、だれよりもこの世で苦しみを受けられました。ですから、キリストの弟子である信徒も、苦しみを受けますが、同時にイエス様が苦しみの後に栄光をお受けになられたように、信徒も栄光を受け取ることが約束されています。
ペテロの手紙第一5章10〜11節
10 あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、あなたがたをキリストにあってその永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、あなたがたをしばらくの苦しみのあとで完全にし、堅く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます。
11 どうか、神のご支配が世々限りなくありますように。アーメン。
(新改訳第三版)
ペテロは、今、苦しみの中にあっても、神様を信じ、神様にすべてをゆだね、互いに励まし支えあい、善を行う信徒に対して、神様がなしてくださる四つのことを教えています。
1.完全にする。2.固く立たせる。3.強くする。4.不動の者とする。
信徒はこの世で苦しみを受け、肉体的にも精神的にも痛みを負っています。神様は、その痛みを癒して完全にしてくださいます。苦しみの中では信仰も弱ります。預言者エリヤやバプテスマのヨハネですら、信仰が弱ったことが記されています。そのような信徒の弱った信仰に、神様は確信を与え、固く立たせてくださいます。そして、霊的にも肉体的にも、今までとは異なる強さを与えてくださり、もう二度と揺るぐことがない者としてくださいます。
神様はそのようなことがお出来になるあらゆる恵みに満ちたお方です。信徒が招き入れられた永遠の栄光は、地上で終わる恵みではなく、永遠に続く失われることがない恵みです。ペテロは、人間の目には、悪い力が支配しているように見える世ではあっても、恵みに満ちた神様がすべてを治めておられることを、開かれた霊の目で見て神様を褒め称えています。
私たちは、困難の多い時代に生きています。幸い日本では信仰のゆえに、迫害を受けることは少ないですが、信仰が弱るような困難に直面している人も多いと思います。今日、みことばから励まされたように、まず、神様の御手の下にへりくだりましょう。そして、思い煩いを神様に委ねましょう。霊の目を開いていただき、悪魔の誘惑に対して、自分はイエス様に従う者、神様の子どもであると宣言して立ち向かいましょう。神様はしばらくの苦しみのあと、私たちを完全にし、固く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます。