2021年5月9日「力を受ける約束」木下淳夫 師

タイトル力を受ける約束
聖書使徒の働き1:3~9
説教者木下淳夫師

 当時の弟子たちは、イエス様が昇天されてから十日、聖霊が与えられるという約束を信じて待ち続けました。ですから、私たちも2週後に迫っているペンテコステを、みことばの約束を握って待ち望んでいきたいと願っています。今日は、「力を受ける約束」というテーマで、聖霊様が私たちに臨んでくださったときに力を受けるという約束を覚えて、今の私たちも聖霊様から力をいただいて、主の働きをさせていただきたいと願っています。

使徒の働き1章3〜5節

3 イエスは苦しみを受けた後、四十日の間、彼らに現れて、神の国のことを語り、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。

4 彼らといっしょにいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。

5 ヨハネは水でバプテスマを授けたが、もう間もなく、あなたがたは聖霊のバプテスマを受けるからです。」

(新改訳第三版)

 イエス様は、復活されたのち、弟子たちの前に姿を現してくださいました。しかし、弟子たちの中には、依然としてイエス様の復活が信じられない者もいました。そのような弟子たちにもイエス様は、魚を食べるなど、確かな証拠を持って、ご自分が生きておられることを示されました。そして、神の国について語り、弟子たちだけで福音を伝える備えをされました。

 そして、イエス様は弟子たちに、エルサレムを離れないで、父なる神様から与えられる約束の聖霊を待つようにと命じられました。それは、エルサレムで約束の聖霊が与えられるからです。弟子たちがイエス様を信じて、エルサレムにとどまるなら、聖霊によってバプテスマを受けます。聖霊のバプテスマは、イエス様を信じた人と、イエス・キリストを一つにする働きです。また、イエス様は父なる神様、聖霊なる神様と一つであるお方ですので、信徒がイエス様と一つになるということは、三位一体の神様と一つにされることを意味します。一つになるなら、誰にも、また何があっても切り離すことはできません。

 旧約時代では、聖霊は選ばれた聖徒の上に、一時的にとどまりました。しかし、イエス様の十字架の死と復活を通して、イエス様を信じる人たちに与えられた新しい約束は、聖霊が聖徒の内に住んでくださるということ、神様が聖徒といつも一つとなってくださるという恵みです。

使徒の働き1章6〜7節

6 そこで、彼らは、いっしょに集まったとき、イエスにこう尋ねた。「主よ。今こそ、イスラエルのために国を再興してくださるのですか。」

7 イエスは言われた。「いつとか、どんなときとかいうことは、あなたがたは知らなくてもよいのです。それは、父がご自分の権威をもってお定めになっています。

(新改訳第三版)

 弟子たちは、復活のイエス様に出会い、聖霊が与えられる約束を信じました。そして、彼らはローマに支配されていたイスラエルを、イエス様がメシアとして再興してくださるときが来たと考えました。しかし、旧約聖書に示されているメシアが統治する王国は、ユダヤ人たちがイエス様をメシアと拒否したために、このときは成就することはなく、延期されることになりました。

 ですから、イエス様は「いつとか、どんなときとかいうことは、あなたがたは知らなくてもよいのです。それは、父がご自分の権威をもってお定めになっています。」とお答えになられました。

使徒の働き1章8〜9節

8 しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」

9 こう言ってから、イエスは彼らが見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた。

(新改訳第三版)

 弟子たちにとって大切なことは、メシアが統治する王国の到来が延期されたことにより、新しい時代、教会時代が到来したという事実です。教会時代は、イスラエルだけでなく、全世界の民がイエス・キリストの恵みにより、罪から救われ神様のみもとに立ち返ることができる時代です。その働きを担うのがイエス様の弟子たちです。イエス様は、弟子たちが約束の聖霊によりバプテスマを受けて力を受け、エルサレムから始まり、ユダヤ、そして、サマリヤ、地の果てまで、イエス・キリストの証人となると宣言されました。イエス・キリストの十字架の死と復活によって、すべての人の罪は贖われ、イエス様を信じる人は誰でも罪が赦され永遠の命を受けるという福音を宣べ伝える者として、弟子たちが遣わされることを教えられました。

 弟子たちは、自分たちが描いていた理想とは異なった働きを与えられたのですが、それは彼らにとって信じがたい言葉だったでしょう。彼らはイエス様に権威を授けられ、伝道した経験がありました。これから、弟子たちは、その力を聖霊様から与えられ、イエス・キリストの証人として、宣教の働きに出て行くように命じられました。

 私たちは、この弟子たちの働きによって伝えられた福音を、この日本で、今の時代に受け取りました。これは、当時の弟子たちにとって、想像もできなかったことではないでしょうか。同じように、私たちに与えられている、主にある働きも、ある人には不可能と思えるかもしれません。また、与えられている働きが、小さなことで意味のないことと思うかもしれません。しかし、聖霊様が力を与えてくださり、私たちと共に働いてくださるとき、その働きは私たちの思いをはるかに超えたみわざとなります。私たちも、当時の弟子たちのように、イエス様を信じたことにより、聖霊のバプテスマを受け、キリストと一つにしていただいています。聖霊様が内住してくださっています。この恵みを信じて、御霊に満たされることを求め、私たちもキリストの証人として、この地上で奉仕させていただきましょう。