2022年8月28日「御前に静まれ」木下淳夫 師

タイトル御前に静まれ
聖書イザヤ41:1~4
説教者木下淳夫師

 今日は、「御前に静まれ」というテーマです。

 神様がすべての国の人々に対して御前に集い静まるように呼びかけておられる招きのみことばを聞き、私たちも静まって新しい力を得たいと願っています。

イザヤ書 41章1節

1 島々よ。わたしの前で静まれ。

諸国の民よ。新しい力を得よ。

近寄って、今、語れ。

われわれは、こぞって、さばきの座に近づこう。

(新改訳第三版)

 主なる神様は、天地万物を創造し、すべてを治めておられ、また、人間の歴史にも、関わっておられます。神様はイスラエルの民を選び、ご自身の民とされました。聖書には、選ばれた民族であるイスラエルと、神様の関係が歴史的な出来事を通して記されています。また、神様はご自身の民だけでなく、すべての民族に対してもさまざまな関わりをしておられることがわかります。例えば、神様の御心を痛めていたソドムとゴモラの町の人々に対しては、きびしいさばきを下されました。また、神様に背を向けたイスラエルを罰するために、ペリシテ人や、アッシリヤ、バビロンが用いられました。そして、バビロンで捕囚となっていたイスラエルですが、ここでもダニエルや、ネヘミヤ、エステルなど、バビロンやペルシャの王を通して、不思議な恵みが与えられたことが記されています。

 この1節では、「島々よ。わたしの前で静まれ。諸国の民よ。新しい力を得よ。」と呼びかけられています。これは、イスラエルの民だけでなく、世界中の人々に対して主が呼びかけておられることがわかります。このように、主はすべての人に、ご自身こそまことの神様であり、すべてを治めているものであることを知らせようとしておられます。また、主こそまことの神様であることを知り、神様の御前で静まり、悔い改めて新しい力を得るようにと命じておられます。人間は、自分の基準で善悪を判断し、さばきを行いますが、正しいさばきを行うのはだれか、また、人を生かすことができるのは誰かを悟らせようと、主はすべての人を招いておられます。

イザヤ書 41章2〜4節

2 だれが、ひとりの者を東から起こし、

彼の行く先々で勝利を収めさせるのか。

彼の前に国々を渡し、

王たちを踏みにじらせ、

その剣で彼らをちりのようにし、

その弓でわらのように吹き払う。

3 彼は彼らを追い、

まだ歩いて行ったことのない道を

安全に通って行く。

4 だれが、これを成し遂げたのか。

初めから代々の人々に呼びかけた者ではないか。

わたし、主こそ初めであり、

また終わりとともにある。わたしがそれだ。

(新改訳第三版)

ここに記されている「ひとりの者」は、この預言の後の時代、ペルシャの王クロスだと考えられています。クロスは、バビロンを征服し、バビロンに捕らえられていたイスラエルの民が故郷に帰還することを許し、神殿建築の協力も行った王です。

 ですから、この預言はイザヤが預言のみことばを与えられた当時のイスラエルの民に対して語られたみことばではなく、バビロンから帰還した民に対して語られたみことばであると考えられます。

 これは、不思議な感じがしますが、イエス様が弟子たちにみことばを語られた時も、何年も未来の人々に向けて語られたことがあります。もちろん、イエス様は、目の前の弟子たちや人々に対して語られることが多いのですが、将来エルサレム崩壊に直面する人々、また、再臨のイエス様をお迎えすることになる人々に向けて、語られることもありました。そのように、主はイザヤに対しても、当時のイスラエルの民に対するみことばだけでなく、将来バビロンに捕え移される人々、また、バビロンから帰還した人々に対してもみことばを与えておられます。

 ここで最も大切なことは、クロス王を選び、イスラエルを解放したのは、主であるということです。4節「だれが、これを成し遂げたのか。初めから代々の人々に呼びかけた者ではないか。わたし、主こそ初めであり、また終わりとともにある。わたしがそれだ。」と、あるとおり、主は、この世の初めからその時代の人々に関わりを持っておられ、ご自身の計画を成し遂げるために、最善の人物に御声をかけ、大きな働きをさせてくださいました。大きな国を築き上げた王であっても、多くの富を得た人であっても、すべて主が御目を留めてくださり、新しい力を与えてくださったからこそ、そのような業績を残すことができました。

1 島々よ。わたしの前で静まれ。諸国の民よ。新しい力を得よ。

 主は、私たちにも、御目を留めてくださっています。そして、困難な時代で苦しみ、もがいている私たちに、「わたしの前で静まれ。」と、招いてくださっています。現代は、一部の権力者が、自分の利益のために、争いを引き起こし、富を独り占めするような時代です。このようなことは、神様の御心にかなうはずかありません。神様はこのような時代に対して、「島々よ。わたしの前で静まれ。諸国の民よ。新しい力を得よ。」と、招いてくださり、主こそまことの神様であることを認め、へりくだって主に従うことを求めておられます。

 この世の初めから、終わりまで、すべての歴史を支配しておられる主は、私たちにもイエス様の恵みにより救いを与えてくださいました。そして、今、罪を離れ、すべてを治めておられる主の御前に静まって、主との交わりを深めるように命じておられます。私たちが主の御前に静まるなら、主は新しい力を与え、主の栄光を現す働きを、私たちにも与えてくださいます。