2020年7月5日「互いに教え互いに学ぶ」木下淳夫 師

タイトル互いに教え互いに学ぶ
聖書1コリント14:26-40
説教者木下淳夫師

 

 問題の多かったコリントの教会に対して、具体的な集会の持ち方が説明されています。私たちも、新しい生活様式を勧められているなかで、これから集会の持ち方も考えなくてはならない時代であると思わされています。そのヒントを今日のみことばからいただきましょう。

コリント人への手紙第一14章26節

26 兄弟たち。では、どうすればよいのでしょう。あなたがたが集まるときには、それぞれの人が賛美したり、教えたり、黙示を話したり、異言を話したり、解き明かしたりします。そのすべてのことを、徳を高めるためにしなさい。

(新改訳第三版)

 コリントの信徒への大切な命令です。すべてのことを教会に集っている兄弟姉妹全員の徳を高めるため、信徒が成長し、互いに協力しあって教会が成長するように、与えられた賜物を用いるように命じられています。

コリント人への手紙第一14章27〜28節

27 もし異言を話すのならば、ふたりか、多くても三人で順番に話すべきで、ひとりは解き明かしをしなさい。

28 もし解き明かす者がだれもいなければ、教会ではだまっていなさい。自分だけで、神に向かって話しなさい。

(新改訳第三版)

 当時の集会では異言の賜物を与えられた人たちが自由に異言で祈っていたのでしょう。それでは、彼らは恵まれるかもしれませんが、他の人は何が起こっているのかわからず、何の益にもなりませんでした。ですから、異言を話す場合、二人か多くても三人で順番に話し、ひとりは解き明かしをするように命じられています。また、解き明かす人がいないときは、教会では異言を語らないように命じられています。ここから、教会が自分ひとり恵まれれば良い場所ではないことがわかります。

コリント人への手紙第一14章29〜33節a

29 預言する者も、ふたりか三人が話し、ほかの者はそれを吟味しなさい。

30 もしも座席に着いている別の人に黙示が与えられたら、先の人は黙りなさい。

31 あなたがたは、みながかわるがわる預言できるのであって、すべての人が学ぶことができ、すべての人が勧めを受けることができるのです。

32 預言者たちの霊は預言者たちに服従するものなのです。

33 それは、神が混乱の神ではなく、平和の神だからです。

(新改訳第三版)

 パウロはコリントの信徒に、預言の賜物を求めるように命じていますが、その預言についても、注意があります。ふたりか三人が与えられた預言を語り、他の人は、それが本当に神様のみことばであるのかを吟味するように命じられています。預言者と自称する人たちが、自分勝手なことを言って人々を惑わすことがないように、すべてを鵜呑みにしないように、語られた内容が本当に神様の御心に沿ったものであるのか確かめることは重要です。また、別の人に黙示が与えられた場合は、先に話していた人は黙って、その人が語ることばにみんなで耳を傾けます。

 教会は、すべての人が語り、学び、勧めを受けることができます。誰か一人だけが神様のみことばを語り、他の人はその指導者に従うだけという関係ではありません。これは私たちも覚えなければならない真理です。

 だからと言って、集会中にだれもが勝手に話し出したら、その場にいる人たちも誰の話を聞いていいのかわからなくなります。預言を語る人はたちが、お互いに、「自分は大切な神様のみことばを語っているのだから、他の人は黙っていなさい」と言って、混乱することがないように、パウロは「神が混乱の神ではなく、平和の神だから」と教えて、平和に集会を行うように命じています。

コリント人への手紙第一14章33b〜35節

33 聖徒たちのすべての教会で行なわれているように、

34 教会では、妻たちは黙っていなさい。彼らは語ることを許されていません。律法も言うように、服従しなさい。

35 もし何かを学びたければ、家で自分の夫に尋ねなさい。教会で語ることは、妻にとってはふさわしくないことです。

(新改訳第三版)

 コリント教会で、集会を混乱させる人たちは、異言を語る人たち、自分勝手に預言のことばを語る人たちだけではありません。何人かの婦人たちも混乱させていたようです。原則はだれもが話をすることができ、だれもが学ぶことができ、勧めを受けることができます。しかし、集会の秩序を乱してまで、自分の主張を通すことは許されていません。

コリント人への手紙第一14章36〜40節

36   神のことばは、あなたがたのところから出たのでしょうか。あるいはまた、あなたがたにだけ伝わったのでしょうか。

37   自分を預言者、あるいは、御霊の人と思う者は、私があなたがたに書くことが主の命令であることを認めなさい。

38   もしそれを認めないなら、その人は認められません。

39   それゆえ、わたしの兄弟たち。預言することを熱心に求めなさい。異言を話すことも禁じてはいけません。

40   ただ、すべてのことを適切に、秩序をもって行ないなさい。

(新改訳第三版)

 コリントの信徒の中には自分は知恵がある、知識があると考えて、他の人を見下したり、特別なグループを作って教会の一致を妨げる人たちがいました。そのような人たちは、自分たちが神様の恵みを思い違いして、高ぶっていました。ですから、パウロは使徒としての権威によって、ここに書き記した命令を守り、みんなが一致して徳を高めることができるように、すべてのことを適切に、秩序をもって行うように命じています。

 もし礼拝のなかで、自分は賛美することが好きではないからとか、説教はたいくつだからと言って、それぞれに自分勝手なことをしていたら、どうなるでしょうか。それぞれに、賛美を通して、祈りを通して、説教を通して、交わりを通して、奉仕を通して、一人ひとりは成長すると思います。しかし、教会として成長することはないのではないでしょうか。

 神様は、信徒一人ひとりの成長だけでなく、キリストのからだである教会が成長することを願っておられることを忘れてはいけません。

 いま、新型コロナウイルスの影響で、教会の活動も今まで通りというわけにはいかなくなってきました。そのなかで、一人ひとりに与えられた神様のみことば、また、神様から与えられた賜物が、本当に必要な時であることを思わされます。与えられた恵みを、教会に集った時や、SNSを利用して分かち合っていただくなら、お互いの徳を高めることになるでしょう。いまこそ、教会の信徒一人ひとりの力が必要な時です。力を合わせて、新しい歩みを始めてまいりましょう。